どよう

3年A組ー今から皆さんは、人質ですーのどようのレビュー・感想・評価

4.5
メッセージ性はとても高く、菅田将暉さんの演技の力や生徒役の人たちも含めた泣き顔により感動することは確実です!
ストーリーもこれで10話どうやって引っ張るの?という題材でしたが一つ一つ謎が明らかになるスタイルでうまく引き込まれました。ただし、ミステリーとして期待した人は批判したくもなるかと思います。このドラマはあくまでも菅田将暉さんと生徒たちの演技を楽しむドラマだと思います。

とにかくその演技力で表面的には感動できるし見終わった直後の高揚感はすごいのですが、その一方で恐ろしさも感じます。言っていることは「自己批判」して「総括」しろっていう相手の求める答えを考えて行動しろっていう連合赤軍みたいな内容なのですが、菅田将暉さんの人間力溢れる演説によってとても正しいことのように思えてきます。もちろんそれでやる気が出たり、救われるのならばそれで良いのかもしれませんが、影響されやすい少年少女が見ることを考えると心配になります。爆弾や暴力による脅しと感動的な演説のメリハリによってクラス全員が誘導されていく姿を良い話として消化していくことは恐ろしいことです。

もちろん体罰やハラスメント行為があるけど人間味あふれていて結果を出す先生と体罰やハラスメント行為を一切しないけれどやる気がなく普通の先生ならどっちが良いかと言うと難しい気がしますが、そもそも暴力もハラスメントも絶対にあってはならないもののはずです。

全体として良いドラマであることは間違いないのですが、教師もののドラマでいつまでたっても人間力があり結果が出せれば暴力も許されるという価値観を持ったままなのはなぜでしょうか。菅田将暉さんの演じる柊先生も人間力溢れる演説はとても良いのですが、生徒を抑えるために暴力を用いるし、威圧的な態度を取ったりします。生徒のことを考えていて、良い結果が出たならばそのような暴力やハラスメント行為は許されるとでもいうのか。もちろんこれは作り話だし、そもそも爆弾による人質事件を起こしているのでそれ以前の話ではあるのですが、演出上柊先生は生徒から慕われる良い先生というイメージが残ってしまい、暴力や犯罪行為をしてまで生徒のためになることをする先生が良い先生というメッセージとして受け取ってしまいそうです。柊先生の罪についてはスルーだったことには違和感を感じます。要するにこれも正しい目的のためならばどんな犠牲を払ってでも革命を成功させることが大切と言うメッセージなのでしょう。それが例えテロ行為であったとしても、、、

どちらにしてもエンターテインメント性はとても高く、イメージで食わず嫌いをしてましたが、見てみたらとても面白くてネット配信で一気に見てしまいました。
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