み

坂の途中の家のみのレビュー・感想・評価

坂の途中の家(2019年製作のドラマ)
4.5
すごく良質な作品。
しっかり丁寧にさまざまな人の心を、この事件の裁判を通して描いてる。
演出も脚本も素晴らしい。
ドラマ苦手だけど一気に見てしまった。
もっと露骨なモラハラなのかなって見る前は思ってたけど、こういう積み重ねていく言葉のニュアンスの感じとか、ふとしたことに救われて、自分を誤魔化して立ち直ろうとするけどでもやっぱうまくいかなくて…みたいな描写がリアルですごい。
ホラーじゃないのに、ぞっとするこの怖さはなんだろ。初めての感覚。あの宙に浮かんだカット、鳥肌がやばかった。孤独感。
宙ぶらりんで、どこへも行けない。

結婚や出産、子育て、価値観、夫婦の関係性。本当にそれぞれで、ささいなことって周りからはわからなくて。
誰が悪とかそんなんじゃない、このリアルな描き方。複雑な構成をしっかり描ききってる。素晴らしい。
最初、被告人に関するインタビューなのかなって思ってたら違った、みたいな演出もにくい。

俳優陣もすごい。回想でいろんなパターンを演じた水野美紀もすごいし、柴咲コウってこんなに演技派だったんだね。ヒステリックとは全然違う、耐えてる感じとかこの怒りや悲しみへのグラデーションの見せ方がすごい。

最後、海辺で2人が話すあのシーンで、号泣。出会えてたなら…😭

テーマは重いけど、悪い意味ではそうは感じないというか、この素晴らしい作品を見れて良かったなと心から思った。

自分のこと、自分の母のこと、自然と思い出していろいろ考えて泣いた。
み