坂の途中の家のドラマ情報・感想・評価・動画配信

「坂の途中の家」に投稿された感想・評価

このレビューはネタバレを含みます

主人公は、3才の娘と年上の旦那を持つ専業主婦。物語は、主人公がとある裁判の補欠裁判員として選出された事から始まる。

その裁判は、主婦が生後8ヶ月の子供を湯船に落として死なせた事件を対象としている。主人公は、補欠裁判員として総計11回に及ぶ公判に参加し、他の裁判員と議論を交えながら、被告人と自身の境遇に共通点を見出していく。

主人公と、同じく子供を持つ裁判員の2人を除いて、大半の裁判員は被告人に対して否定的な見方を示す。被告人の主張は、実親や旦那からの精神的な暴力に追い詰められ、ノイローゼになった事が事件の原因だと言うものである。しかし、多くの裁判員はそれを他責的で無反省的な態度だと批判し、情状酌量の余地を認めない。

ではなぜ、主人公は被告人を擁護するような目線を持ったのか。それは、主人公もまた被告人同様に旦那や実親から精神的暴力を受けていたから。その事に、物語終盤でようやく気づく事ができたからである。


このドラマを通して浮かび上がるキーワードは「モラハラ」「想像力」「連鎖」の3つである。
モラハラは、ともすれば「善意」の名のもとに実行される事もあり、なかなかその悪意に周囲の人間はもちろん、被害者自身も気づけない。「お前の為に」という言葉を添えれば言葉の刃も正当化される、なんて事はない。しかし、誰も自分を擁護しない環境下でモラハラが継続されると、被害者はそのモラハラを「適切なアドバイス」として処理し、結果、自分が悪いという劣等感を植え付けられる。
モラハラは、時間が経過すればする程その効力が強まる。相手が劣等感を持ってくれると、その呪いはより強力になる。その点で、非常にタチが悪い関係病理である事が、本作を通して浮かび上がって来る。

また、本作では裁判員の1人が「子持ちもそうでない人も、互いを想像できれば上手くいくのかもね」と主人公に述べるシーンがある。モラハラとも絡んでくるが、本作の主人公と被告人は、周囲の想像力の無さによって苦しめられた側面は大きい。あなたの為にという文言は、自分の思い通りに相手を支配したい気持ちの裏返しでもある。しかし、その軽い気持ちで放った言葉は、言った本人は忘れてしまっても、受け取った側は呪いとして記憶に刻印されてしまうかもしれない。サポートという名の干渉で、相手を縛りつけてしまうかもしれない。そうした想像力を一人一人が持つことで、ある種の社会病理も穏やかになるのだろう。

そして、本作では縦の連鎖ー毒親もまた毒親に苦しめられていたーという繋がりが示唆されている。統計的に、幼い頃虐待を受けた人が親になったとき、同じように虐待してしまう確率が、そうでない
親よりも高い事が分かっている。そうした知見からも、親から子の遺伝ー連鎖ーとは容姿や知力という要素を超えた根深いものがあり、個人の資質を個人の責任のみに還元する事の難しさが現れている。連綿と紡がれた負のストーリーに区切りをつけることは容易ではないが、少なくとも、その運命に自覚的になる事。そこに、親から定められた人生とは異なる希望の道は開けている事が、本作を通して浮かび上がった。


終盤。裁判自体は主人公にとって少しだけ溜飲の下がる結末を迎え、旦那等の周囲との関係性の改善の兆しは少しだけ見えた。人によっては、その兆しに希望を見出すのかもしれない。
だが私の考えとして、人はそう簡単には変わらない。それが成人を過ぎて自我が固着した人間ならなおさらの話である。従って、主人公の女性にとって本作とは不幸の終幕ではなく、まだその中途であると私は見える。
だが本来、人生とは死ぬまで中途の道である。人間万事塞翁が馬。一時の幸不幸はその後の人生で容易に裏返され、過去の解釈は2転3転する。何が不幸で何が幸福か、そんな事は未来の筋書き1つでガラリと変わる。
そう思えば、不幸の中途を歩んでいく主人公の前途は幸福の中途とも言えるし、少なくとも、清濁合わさった「人生」を進む覚悟を持った事自体は、救いの物語であったと振り返られる。
角田光代が書いた社会派サスペンスストーリー。
現在、児童虐待や育児放棄が日本において社会問題となっている。

また、私たちは、無意識のうちに周りの人たちを傷つける軽率な言葉を発しているかもしれない。
昨今、夫婦間のモラハラ問題もよく話題になっているが、このドラマでは、ネグレクトやモラハラを含めたサスペンスものとして、色々考えさせられた。

WOWOW録画
YukiShirai

YukiShiraiの感想・評価

4.5
0
日曜日恒例のドラマ一気観
コ、コレはめちゃくちゃクオリティ高いのでは…!ゴクリ

私の中で田辺誠一の株がダダ下がる仕上がり!
アレ絶対またやるぜーモラモラ

最終話の主文言い渡しと海辺のシーンはクるものがあってなんかもう色々とヤバい※私の語彙力含む
飲んでたプロテイン田辺誠一にぶっかけようかと思った
あとカメラワーク?全然知らないけど映画見たい
あけ

あけの感想・評価

5.0
0
子どもが亡くなったという事実は変わらないので救いがないといえばない。大号泣だった。
Y

Yの感想・評価

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0
子育て夫婦には深く刺さる。
子育ては想像の遥か上を行く営み。

作中にこんなセリフがあった。
何も知らない女の子が怪獣を育てるようなものよ。

今観れて本当によかった。
yf

yfの感想・評価

5.0
0
リアルすぎる。リアルすぎて田辺誠一はじめ周りの人間に本気で怒ってしまう。笑
子育てって過ぎてしまえば自信に変わってしまうものなのか、人の気持ちなんて同じ境遇にいる人にしか理解できひんのに想像で決めつけて理解した気になって偉そうに物言う人間の傲慢さよ!!!!←まだ怒ってる
全話いっきに見てしまった。
maruko

marukoの感想・評価

4.5
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平凡な主婦が虐待事件の裁判員に選ばれ、公判が進むにつれ我が子を殺した女と自分を重ね合わせ、、そこからまたすごいドラマ。
旦那、母親、姑、舅、周りが理解してる風で本当はなんも理解してない。
その言動が、心ない一言が、どんどん人を追い詰めていく。
それがリアルに描かれていた。

虐待事件はあってはならないことだけど、水面下だけでは何もわからないもので、虐待は紙一重でどこの家庭にも起こりうることなのがよく分かる。
水野美紀の演技がすごい。
めっちゃ見応えあったー!
Non

Nonの感想・評価

5.0
0
いや、完成度高っ…!あらゆる人を対象に物語の核心に迫ります。観るのが辛いところも多いですが、最終話では胸に刺さる言葉の連続。希望もみえ完璧な全6話です。
eriee

erieeの感想・評価

4.5
0

このレビューはネタバレを含みます

これは育児に悩む人達の心に響く物語。

幸せそうな夫婦と娘。
専業主婦でママ友と何処の幼稚園に入れるか相談したり、公園で遊んだり、お茶したり。幸せを絵に描いたような生活。

乳児を殺害した母親の裁判に補欠裁判員として参加した事で日々の生活は一変する。

犯人を取り巻く様々な犯行動機。

夫の非協力的態度。
義母からの誹謗中傷。
実母からの蔑み。

自分を卑下し育児に自信が持てず犯行に至った犯人と自分を重ねてしまううち娘のグズりにカッとなり我を忘れて虐待しそうになる。

夫からのモラハラは私自信このドラマでハッとした。
私も全く同じ言葉を言われ続けてきた。〝お前に出来る訳ない〟〝俺の言う通りにしていれば良い〟

そう、この物語は特別なものでは無い。
子供がいようがいまいが夫婦間、嫁ぎ先、実家の価値観、様々な要因が重なり追い詰められた結果だ。

裁判長の判決後に述べた言葉が心に刺さる。
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