LisaKawato

坂の途中の家のLisaKawatoのネタバレレビュー・内容・結末

坂の途中の家(2019年製作のドラマ)
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このレビューはネタバレを含みます

第1話
原作未読。
角田光代の作品だからなのか、実写化されてもいわゆるドラマという感じがせずにリアルさを感じる。重い。しかし見始めたらそのまま最後まで見てしまった。どの人も演技がすごくハマっている感じ。柴咲コウ演じる『自分の意見を言うのが怖く、『普通』に見られたい妻』の話し方とか眉とかセリフの間とかすっごく絶妙に上手くて、見ていてもどかしくてイライラして凄い。水野美紀も凄い。見終わったら結局続きが気になる。

第2話
前回見終わった時は続きが気になったのに、いざ第2話を見ようと思うと気が重い。なんかすごく嫌なもの(普段目をそらしているような)を見てしまい(気づかされ、考えなくてはならなくなり)そう…という矛盾した気持ち。とはいえ気になり見る。
田辺誠一演じる夫の態度がどんどんイライラした気持ちを促す。凄い。子供も凄い。演技が上手い。
どの人達もそれぞれの立場でもどかしさを感じている。誰も助けてはくれない。自分でどうにかせねばならない。しかし頑張っていようが関係なく、『何も知らない人達』からの何も知らないことによる何気ない言葉に追い討ちをうける。
『何も知らない人達』は『本当に何も知らない』のか?とか、なぜ何も知らないのに関わろうとするのか、みたいなことが地に浮かんでくる。みなそれぞれに様々な形で、頑張っているのに傷つけられ、その反動で自分を慰めるように、今度はまた違う他人に自分の正論を押し付け始めているように見える…
とにかく観ているとイライラして思考が止まらなくなる。早く第3話がみたい。

第3話
いよいよ本格的に人間関係の難しさが出てくる。一番見ていてあっという間だった。
会社員の浮気シーンでのセリフに対するその浮気相手の女性の「そうやってここにいる理由を正当化しようとするのやめたほうがいいですよ」という言葉が、あまり本編のあれこれとは関係ない気がするんだけど誰よりも狂っているようで冷静な気がして印象的だった。途中からナレーション的役割で入ってきたカウンセラー?の女性のカットが入っていなかったら人間観察が鋭すぎて後半苦しすぎて見てられなかった…

第4話
光石さん…むしろ一番恐怖。もはやこんなに1人の人間が多方面から押しつぶされそうになることなんて…でも実際あると思う。それが恐ろしい。

第5話
きつい…今までの色んな人の証言は被告じゃなくて全てあーちゃんママのだったのか…もう嫌…しかし一方でようやく、最初は事態をより悪い方向へ向かわせるかと思われたが、坂井真紀によって何か光が見出されるのかもしれないと兆しが見え始める。

第6話
ほっとした…解放された様な気持ち。とにかく裁判員だったそれぞれが、逃げる事なくこれから幸せになる方向を向けたことが、何より救い。水野美紀の感情が動いた瞬間、観ているこちらも今までの溜まった不安の様な気持ちが全て外れて、全身の力が抜けていくような気がした。柴咲コウと水野美紀が浜辺で子育てについて話すシーンで号泣。現実で起きているこの様な出来事が(児童虐待を除く。母親になることのとてつもない大変さや、想像力が足りなかったり、言葉にできないなどコミュニケーションのもつれによる、夫や、親や、他人との人間関係の大変さ)、この話の終わりの様に、混じり気なく"正しく"裁かれるかは難しいが、せめてこの作品の中では、こうやって救われることができて良かったと思った。
LisaKawato

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