イエローオーシャン

エールのイエローオーシャンのレビュー・感想・評価

エール(2020年製作のドラマ)
4.0
昭和時代に活躍した作曲家古関裕而をモデルにした物語。

音楽の才能に溢れるが少し気弱な雰囲気がある古山裕一役の窪田正孝が好演。
裕一を支えるしっかり者でポジディブな妻の音役の二階堂ふみも素晴らしかった。

制作途中に話数の大幅短縮があったため致し方ない部分もあるが、幼少期から晩年期をヒット作に焦点を当てながら話が進行していくのでだいぶ時代が飛び飛びになり、終盤で突然裕一たちが歳をとった印象があって、ラスト1週間で相当まとめたなという感じはあった。


窪田正孝の友人役である歌手の久志と作詞家の鉄男がとてもキャラクターとしてしっかりしていて目立っていた印象。
朝ドラは時代が変わったり主人公が住む場所が変わると周りの登場人物もガラッと変わることが多いけれど、今回はずっと幼少期から裕一が売れっ子になった後まで彼らと共に仕事をする機会が多いので細々とだけれどずっとこの2人が作品にいるのが良かった。
久志役の山崎育三郎は、お金持ちのナルシスト坊ちゃんの序盤から戦後の落ちぶれた時期、そのあとの歌手としての成功とまるで別人のようなオーラをその時々で放っていて演技力が素晴らしい。

裕一の恩師である藤堂先生役の森山直太朗も落ち着いた雰囲気のある教師が似合っていた。


この作品は歌がテーマということで二階堂ふみをはじめ本当に歌えるキャストが揃っていて歌唱シーンが迫力があった。

二階堂ふみの妹役の森七菜や川俣にいた際に裕一が訪れたダンスホールの踊り子の志津役の堀田真由、裕一の娘役の華を演じた古川琴音も出番は少なかったものの存在感があった。


コロナウイルスの影響で撮影と放送の一時中断、志村けんの死去、話数の大幅短縮など想定していなかった事態が重なった作品だったけれど、この時代だからこそ「エール」という朝ドラで人々は勇気づけられたのではないかと思う。最終話が特別編のコンサートというのもこの作品らしくて良かった。