LilyElliot

そして、生きるのLilyElliotのレビュー・感想・評価

そして、生きる(2019年製作のドラマ)
3.5
1話を観終わった時の、これは素晴らしい作品かもしれないという期待が最高潮であり、ラスト第6話までそれ以上の感動は得られなかった。ただ、最後まで観届けたいと思わせる力はあったように思う。

ツッコミどころはかなり多く、まずあれだけ自他共に認める優秀な坊ちゃんがone night loveで孕ませてしまう設定には違和感しかない。そして、それなりの理由はあるものの、それをひた隠しにする瞳子の思考にもやや無理がある。数年経ってもあの判断に悔いはなかったと言っていたが、そんなのどの角度から考えても愛なんかじゃなく、悲劇のヒロインに憧れる浅はかなエゴなので、美談として扱われてしまうことが非常に危険だと感じた。

ハンちゃんは良いキャラだったが、韓国人に対するやや偏見を持たせてしまわないか少し心配になるような演出だった。

気仙沼の坂本さんは、一回清隆を突き放しておいて、結局東北を中心に清隆の仕事が軌道に乗り始めた後は嬉しがっていたが、どういうこと?出発地が気仙沼じゃなかったから良かったの?何か見落としたのかもしれないが坂本さんの気持ちがよくわからなかった。

総じて、あまり奥行きなく都合よく悲劇を描いてしまっているシーンが少なくなく(そうじゃないシーンもあったが)、どうしても安さを拭い切れていなかったように感じた。

一番良かったのは、主役2人の親達。
どちらも実子でない子どもをあそこまで愛し抜くのは生半可ではない。

瞳子の父ちゃんは、実質的にそれ以外の選択肢はなかったとはいえ突如小さい女の子を育てていかなくてはいけなくなったわけだが、娘のためだけに生き抜いたといっても過言じゃない描き方だった。

清隆ママのあの演技は流石南果歩だった。良し悪しは別にしてあの母親はあの母親なりに本気で息子を想っていたし、また、父親と姉とのバランスも良かった。姉ちゃんと清隆も血は繋がっていないわけだが、いやほんとに清隆にあの姉ちゃんがいて良かったな。
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