ひば

ファルコン&ウィンター・ソルジャーのひばのレビュー・感想・評価

5.0
⚠️怪奇!ネタバレ有三点リーダージモ妖怪現る⚠️

大義のために流すのはお前の血ではない。とても気に入ってるシーンがある。バッキーが機械の左腕をすすんで使わないのは「右利きだから」という理由、ジモへの明確なNOを示す優れた描写。人の慣習には暴力を阻む力があるのだ。バッキーが人を受け入れすすんで女性に自分を良く見せようとすることも。銃社会や国軍と遠い位置にいるせいかこれはもう価値観の違いというか、わたしには全編"誰に人を殺す権利があるか"が争点に思えたけど、本人の不在により神格化されつつある"聖人"スティーブとのお別れ話であり、制御できないアイコンと向き合う話であり。今『独裁体制から民主主義へ』読んでて思考整理でとてもリンクする。世界の警察と化したアメリカによる国外での越権行為もかなり効いてる。サムが最後に語りかけるのは、今ヘルジャパンでも散々女の身体を男が決めるな話し合いの場から女を除外するなのユニバーサル単位で泣いちゃったね。「奴らは黒人をキャプテンアメリカになどしない、そして黒人としてプライドがあるなら盾など受け取らない」の台詞もかなり挑んだものだったし良かった。今すべてを解決できる力がないことを自覚するし、それでもこの星に生きる全員が当事者として長期的に考えて話し合っていくしかないしそうすれば道は開ける希望の明かりが作品の結論ともいえる。制作発表時わたしは「サノスのしでかしたことで個人の運命が前向きになった人絶対いると思うな。人々の絶望から希望への5年間だけじゃなく希望から絶望への5年間もいつかシリーズで拾ってほしい。ジモみたいな人もいそう」と言ってた。世界の半数が5年失い銀行保険の手が回らない一方で5年生き抜いた人もケアがなされない、5年の空白が選民思想を加速させ、特定の信念ではじまったことも他者への想像力を抜きにした共感のみでつながると統制のとれなさから結局無秩序の不満の吹き溜まりみたいになるとこが虚しくて良かった。突然自分が被害者となりヒーローのアベンジャーズは一度"救助"した地には二度と来ないと知ったとき、本来一番に考えるのは持続的に社会を維持することでは?という考えがすっぽり抜けていたのを突きつけられてしまう(例外として浮かぶのは、かつて償いから長期的支援を始めたトニーがNYの瓦礫撤去をしていたことは目を見張る行為でありそこからヴァルチャーが生まれた仕組みはなかなかの発想だった)。市民の目が冷たいでお馴染みのMCU。「記念碑に足を運んだか?そんなわけないか」とジモ…ジモ…なにを出してもなにが起ころうともジモが勝つような複雑緻密大成功のキャラクター設定。負けました。究極の利己による究極の利他って感じ、アホのサノスと違うのはジモは愛する人を犠牲にしたりなどしない。わたしがジモに抱いてる感情これは恋…シビルウォー時からすきだったけど…ブリュールさんの顔がすきなのもあるでも作品もたくさん見たけど人物像描写はジモがトップレベルでは?ジモのことは最初から市民のカリスマ性に惹かれてすきだったけどドラマでは内面に迫った市民感が強調されていたように思えてもっとすきになった。かなり複雑な悪役ではあるけど、原因は戦争といういたってシンプルなものなので全部戦争が悪い。普通の人間をあそこまで追いやったものが明白なのに、ジモ自身が内ではまだ普通の人間の葛藤をしてるから…単なる冷笑系でもなくこの人の人生に暴力が介入しなければ稀有な良識人(多義)が誕生していただろうに、暴力が彼の魅力をいっそう引き出し高めてしまっているところと自分はかわいいので許されると10%くらい思ってそうなとこがあまりにすき。暴力に浸った人間の退廃的においが全くしない。気品!信念!を暴力の絹にくるめて配送してくるこの感じわたしにも桜のお茶くれ。ちょいちょいお茶入れてくれる男、今まで見たことないタイプだ。心バッキー心を病んでしまいすべてが自分のせいに思えるほど落ち込んで元気がなかったけど、今回明らかに古今東西に不機嫌で目付きが悪く負の感情をむき出しにしていて良かった、出てきたキャラほとんどがバッキーのこれまでの世界を覆す重大キャラだったわけだ。サムジモバキ3人でいるとオモシロ珍道中なのに、ジモとバッキーが2人になると途端にアダルティックになるのなんなん?ジモとバッキーのなんか不思議で不埒な雰囲気にそわそわして流されてしまう互いの瞳に何かを探しいやそれはきっと確信、確信の息の根を掴もうと視線を絡ませ、バッキーへの所有欲を感じないのにジモだけが「ジェームズ」と囁く耽美な響きにわたしは…「親がいない子は孤児。伴侶を失うとやもめ。しかし子を失った親に呼び名はない。それは最悪なことだから」という話をバッキーは聞いた上で親、伴侶、子、国を一度にヒーローに奪われたジモに接してるわけだよね?バッキーが知らなくともわたしが知ってるので…ジモ、誰も恨んじゃいないのがまたな。CWで個人への恨みはないけどまぁ殺しあったりしてくれるといいなくらいのシステム崩壊に至る経緯での業務的処置法だからそこもあれ。超人絶許トーク中サムに「バッキーのことどう思ってんの」って聞かれて黙るジモ、直後自分の家のように入ってきて我が物顔で酒飲み始めるバッキーの一連シーンなんかロマンスのにおいがする。ジモは恨んでなんかいないと何度も言ってるし実際はバッキーが恨んでる、だけどバッキーはジモが自分を殺人マシンとして恨んでいるのだと思い込んでいるなら、彼を目的の手段として利用しているようで実は彼の目的の手段となることで贖罪してるとなるならこれは罪深いことですよ…彼ももう家族も故郷もない奪われた人間であり奪った人間でもあることはバッキーと同じ、ジモが異質なのは個人を恨まずシステムを恨み体制崩壊のためには手段を選ばずそれに巻き込まれた無関係な人そしてシステム内で作動していた人間にでさえ責められる度に「申し訳なかった」と謝り(多分謝罪を求められれば死ぬまで謝り続けると思う)、個人を狙った犯行でなくとも個人を殺めた罪を全面的に認め謝罪し終身刑になろうが当事者遺族に殺されようが仕方ないというこの姿勢…なに…ふつうに打ち解けられれば情に動かされる部分もあるっちゃあるしジモ…陛下のありがたいお言葉はどうしたとかキレてたけど最後の最後であぁ~~~~~~なって抗いがたきすきなんだけどこれどうしたらいいの。サム→バッキーへの視線はあたたかく、バッキー→サムへはかなり湿っぽい。ジモ⇔バッキーはちょっと事務所を通してもらって…と窓に結露のベールがかかるからshipperのものです!ぶち叩いてる。一見極限執着男ジモに見えるけど実際バッキーの方が湿ってたじゃん、衝撃だよそもそもバッキーが湿っぽい男だからサムに対してもスティーブに対しても湿っぽいには違いないんだけどジモにまで湿っぽくすることはないじゃん。ジモのパーソナルスペースには興味ない(だが自身が及ぼした影響への罪悪感は深い)のに、最後の最後でバッキーのした自発的行動によってジモのパーソナルスペースに事故同然に踏み込んでしまったバッキーのことずっと考えてる…しかも「恨んでなんかないよ」とフォローされ去られる始末よ…ジモ的にはソコヴィアのもはや元の形ですらもないあの地で、心も体もバッキーが葬ってくれるだろうこれで終わりにしてくれるだろうとバッキーを待ってたジモのこと考えるともっといたたまれないよ…結局わたしはジモの心は乾ききっててここにはないとこがずっとすきなんだと思う。バッキーはそれを知っちゃったから空虚さに包まれ別れた感じがすきだったんだと思う。『なんとなくジモの故郷への思いとかどうして超人や血清を嫌っているかはわかってはいたような気ではいたけど、自分に向けられた銃の中に弾はなかったことにジモが暗く目線を落とすのを見て、この人は死にたがっていたのかと衝撃を受けるバッキー』という一連のシーンが頭から離れない。シビルウォーのときもティチャラに殺されないなら自殺しようとしたし獄中でも反省してたと思う。ただまた今回血清が出てきたから立ち上がったのであってやはり意図とは違う犠牲を出してしまったときは彼もあまりに人間だから前と同じようになるわけで、バッキーは自分を殺すだろう殺す資格があるだろうと思って心の準備はしていたのにまたそれが実行されなかったことへの誰も知るよしもないジモの失望落胆をわたしとその半分をバッキーが共有していて呻いてる。『別れる決心』ができます…あなたが"愛している"と言った瞬間あなたの愛は終わり私の愛が始まった、ができます…シビルウォーでも緑と青の境界線の話やってましたし…ジモ脱獄シーンのサントラタイトルが「政略結婚」らしく、ジモがバッキーとのハイパー有害関係を演じるアタックシーンでジモとウィンターソルジャーのテーマが融合した曲が流れるのもうわたしの手には負えないなによもう勝手にして!ジモのフィギュア買ってくる円盤もあった方が良いおい聞いてるかディズニープラス
ジョンウォーカー(『オーヴァーロード』の役も思い出すね)を結局そういう扱いにしてしまうところやシャロンはそれでいいんかとかもありますがジモ妖怪は満足です。黒人を故意に病にかけ放置した治験問題を彷彿とさせる出来事にぎょっとしつつ、日本人が出るなら太平洋戦争以降の日系人強制収容に触れるのかと思ったら別にそうでもなかったただの面白日本だったアジア描写の適当具合はMCUお馴染みもう慣れました実態を知らぬ日本にルーツを持つ2世3世としとも仏壇に大仏いたら笑うじゃんいやわたしが知らん宗教事情かもしれん大仏パラドックス
ひば

ひば