このレビューはネタバレを含みます
「アメリカ」の在り方の話でもあった。
サムが盾を取り戻し、あの見事な演説をしたことで話は綺麗に終わったように見える。
実際、MCU作品のサムとバッキーの話として見る分には、過去作のオマージュも多くとても素晴らしい作品だったと思う。
特にバッキーがサムをキャップと呼んだ時には感嘆の声が漏れた。
しかし、黒人差別や難民の問題を取り上げた作品として観ると、納得の行かない部分が出てくる。
新キャプテンアメリカの役を与えられた白人のジョンウォーカーと、2度目の指パッチン後難民となったカーリモーゲンソウ。この2人のラストがどうしても引っかかってしまうのだ。
ジョンウォーカーは血清の力を抑制することができ、USエージェントとして復活のチャンスが与えられた。
カーリモーゲンソウは力をコントロールできず血清に支配され、最後は命を落とす。
ストーリー上は矛盾もないし納得のいくオチのように見えるが、黒人差別問題や難民問題を扱って起きながら、結局は白人のジョンウォーカーには汚名返上のチャンスが与えられ、難民のカーリモーゲンソウは亡くなっているという脚本には疑問が浮かんでしまう。
どうしてもこのオチに「アメリカ」だなと思わされてしまうのだ。
製作側が、これがリアルな現状であることを踏まえ、あえて描写したかったのかもなのかもしれないと思うほど。
素人が見て脚本に口を出すのは滑稽だけど、カーリにはもう少しだけ前向きな結末があったら良かったなと思わずにはいられない。