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北の国からのshunのレビュー・感想・評価

北の国から(1981年製作のドラマ)
5.0
「北の国から」を観終わったので

拝啓、恵子ちゃん

「北の国から」は1981年から放送された全24話の連続ドラマであり、妻と別れた黒板五郎が息子の純と娘の螢を連れて地元の富良野へ戻ってくる所から始まるわけで

ずっと名前は知っていて観たいと思っていた作品で

廃屋に越してきた家族とまわりの人たちが北海道の厳しい自然のなかで生きる姿が描かれる。五郎の義理の妹の雪子おばさん、友達の中畑おじさん、従兄の清吉おじさん、分校の涼子先生、正吉くん、草太兄ちゃん、つららさん、、それぞれなにかしら暗い過去を背負っており、これがまた重く
それでもどの映画やドラマの登場人物よりもリアルなわけで

個人的に好きな登場人物は涼子先生、最近になって東京から転勤してきたミステリアスな部分がある先生で
自分自身暗い過去を抱えながら自然の中で子どもたちと同じ目線で不思議がり遊ぶ姿がかっこよく思われ、宇宙人と交信できるというのもなんだかおもしろく、ただなぜあのような謎な回を設けたのかは分からないですが

特にキツネの罠の話は印象に残ったわけで
「先生ね、ほんとのこと言って動物を殺すのはとっても嫌よ。できればそんなことしてほしくない。でもね、そうしなければ生きてこれなかった、長年そうやってずーっと暮らしてきた、それが生きるための方法だった、そういう人たちがね、ここにはいたってこと。ううん、今もいるってこと。その事だけはね、知ってあげてほしいの。そういう人たちのこともね理解してほしいの。そういう人たちを憎まないでほしいの」

主人公の五郎は不器用だが誰よりも家族思い、どんな人も平等に扱う。悩みながらも少しずつ"家族"を作っていく
水商売をしているこごみについて言った
「人にはそれぞれいろんな生き方がある。それぞれがそれぞれ一生懸命生きるために必死になって働いてる。人には上下の格なんて無い。職業にも格なんて無い。そういう考えは父さん許さん」が印象深く思われるのであり

雪子おばさんは五郎が離婚した妻の妹と難しい立場でありながら五郎と子どもたちを繋げるしっかりもので
東京との暮らしの違いにも戸惑いながら五郎一家の一番近くで支える姿が温かく

24話、約一年間が丁寧に作り込まれており、生まれてもいない時代なのに懐かしく感じるわけで
目まぐるしく動く現代社会で人々が忘れてしまったものを気付かせてくれる。放送から40年経った今でも心を震わせ涙を流させる力があるので

また音楽も素晴らしく、歌詞のない曲がどこか寂しく温かく作品を包み込む

このあとも約20年に渡って続編のスペシャルドラマが作られ、そちらもこのまま観るつもりでありとりあえず今から楽しみに思われ
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