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ウォッチメンのpenのネタバレレビュー・内容・結末

ウォッチメン(2019年製作のドラマ)
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このレビューはネタバレを含みます

困ったドラマだ。
1話1話の満足度が最初から総じて高いのは見始めた頃から何となく予想出来たけども、6話以降、点と点が繋がり始めてクライマックスに向かって進んでいくようになると、もう凄い。
ストーリーは当然ながら、それを語る演出が冴えに冴えまくり。過去の場面をインサートで引用することで、現在のいま起きていること、話していることに更に深く重い意味を持たせてくる編集の妙技が、ビシバシと決まっていた。
過去と現在がシンクロし、混ざり合いながら進んでいく様は混乱するようでいて、映像的に驚かされる工夫が施され、非常に見やすい。
そんな中で役者陣のエモーショナルな演技がかっちりと噛み合う。話数を重ねる毎に更に高みに向かおうとする製作チームの意気込みを強く感じた。

そんな高い評価を抱きつつ困ったと評したのは、このドラマがウォッチメンというコミックの続編だからだ。後半に進むにつれて前作のことを強く意識させられる。
原作既読なので出てくる要素に一々昂ぶっていたけども、未読の人は大丈夫なんだろうかとも考えていた。

じゃあ前作に触れていない人は見ない方が良いのかというと、そんなことはないし、1ミリでも興味があるなら触れてみた方が良い。
本作は巨大過ぎる原作に対して敬意を払いながらも、同時に果敢に挑み、野心を持って見る側に爪痕を残そうとするからだ。この志の高さがどんどん心地良くなってくる。
そして埋もれさせてはならない人種差別の歴史、それがなお続いている現代だからこそ目撃すべき物語がある。暴力と分断が蔓延る中でヒーロー(というよりむしろ覆面か)に正負の想いを託した人々の姿が鮮明に描かれていて、1つのドラマシリーズとして非常に満足出来る仕上がりだ。
これを見てから前作のコミックに触れるのもアリだし。映画も良いけど、ある根本的な要素のところで、原作でないといけない気がしてる。
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