Yui

アンビリーバブル たった1つの真実のYuiのレビュー・感想・評価

4.4
レイプ被害を訴えた10代の少女マリー。決定的な証拠が挙がらず、彼女の生い立ちや一貫しない証言から、偽証を疑われたマリーは訴えを撤回してしまう。その3年後、同じようなレイプ事件が発生し、二人の女性警官が捜査に乗り出す。実話ベースのドラマなのでとてもおすすめです!

荒々しい描写はほとんど無いものの、リアルに想像出来てしまうシーンが多々あるので、一時停止したり、深呼吸したりしながら観ていました。被害者の身体的苦痛もそうですが、それに伴う精神的苦痛に本当に胸が苦しくなります。

ドラマとしての脚本、構成はとても秀逸。無駄がないのであっという間に一気見してしまいました。必要以上にハードなシーンも入れないし、捜査の苦悩や大変さ、被害者や警官たちの心理描写も繊細で丁寧なのでリアリティがあり、心に沁みるシーンもたくさんあったし、観る側にも配慮を感じる作りがとても良かったです。


犯人を逮捕して人々を守るのが警察の仕事。だけど、犯人がいれば被害者がいて、被害者の心にまで気遣える警察官はどれだけいるだろうと考えてしまいます。ましてや女性が被害者のレイプ事件の場合、男性警官だから全員が無神経という訳ではないと思いたいけど、女性警官の方が真摯に柔和に心に寄り添える人が多いのは事実なんだろうな。
その時、どんな刑事に出会うかもその後の人生を左右するっていうのが、仕方ない事だけどとてもやるせない…。このドラマの女性警官とそのチームみたいな警官ばかりだったらいいのに。

こんな事、誰にも起こらないで欲しいけど、人間がいる限り犯罪はなくならないし、例え犯人が逮捕されても、被害者の傷はなくならない。被害者になる前の自分には戻れない…怯えながら、自分や相手を責めながら生きて行く…。当たり前だけど、それが本当に見ていて苦しくて苦しくて。ポロポロ泣いたり、わんわん泣いたりしながら観てしまった。人生、辛い事はたくさんあるけど、レイプ被害って人として色んなものが奪われる犯罪だと改めて思った。命があって良かったなんて軽々しく言えないくらいに大切なものを奪っていく…。決して他人事ではないです。

本当に辛い出来事こそ、向き合い方、悲しみ方、乗り越え方は人それぞれなんだから、一方的な自分の物差しで計っちゃいけないなと再確認。

ラストは観ているこちらが救われるようなシーンで、私もこういう人でありたい、そうなれるように頑張ろうと前向きになれました。
辛い事件だったけど、観て良かったです。
Yui

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