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天龍八部のtanziのレビュー・感想・評価

天龍八部(2003年製作のドラマ)
4.2
傑作。
原作は未読。でも武侠映像作品はかなり好きで昔の映画は観てるけど、金庸作はかなりの分量だしやはりドラマの方が相応しいとあらためて思う。

この直前に同じ張紀中プロデュースの『笑傲江湖(リー・ヤーポン主演2001年版)』も観た(なぜ、Filmarksにはこのバージョンのページがないのかな)。

アクションシーンはアクション監督に(タイトルロール表記は導演)元彬の関わってるあちらの方が断然好きだけど、話としては個人的にスケールの大きさキャラの多様さサプライズとこちらに軍配をあげたい。



以下ネタバレ


親の因果が子に報い…。
ほとんどは段正淳が悪い 笑。

前半はジミー・リン演じる段誉のキュートさが引っ張り、中盤は運命に翻弄される喬峯と虛竹を鍛える(虐める?)天山童姥のご無体さに引きずられ、終盤は絡み合った業の深さと利己的な人の罪深さに大笑いしたり呆気にとられたり。

悔い改めて出家した蕭遠山と慕容博に一瞬でも感動した気持ちを返して欲しい。
ちゃんと尻拭いしてから出家しろ、お前ら。

最後は善悪の曖昧さ民族による分断の愚かさと、怨恨や戦がもたらす底知れぬ連鎖の地獄を1人背負い断ち切らんとする蕭峯の英雄ぶりに涙した。

でも一方で、作者金庸が洋行中代筆した倪匡(これまた香港の超有名作家、新聞小説だったために当時はそういうことがよくあったそう)が「コイツ嫌いなんで」と勝手に阿紫の目を潰したという現実のエピソードには笑うしかない。

そのためか、意地になったのかもしれん金庸が最後まで阿紫を中心に据えたまま、気がつけば一切の反省もすることなく彼女の成就で全てが終わったのが一番びっくらこいた。

いや、面白かった。

ドラマの方は胡軍はもちろん、脇に至るまでキャスティングがみな最高。

ジミー・リンは映画『新流星胡蝶剣(1993)』でしか知らなかったけど、ある意味こんなダメ男を嫌味なくここまでピュアにキュートに演じるのは天性のものとしか言いようがない。段誉殿には何度も腹抱えて笑わしてもらいました。ありがとう。

そして大人になった劉亦菲しか知らなかった身としては、少女時代の彼女の清純さの中に見え隠れする色気とケタ外れのオーラにも驚いた。そらスターになるわ。
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