おなべ

逃げるは恥だが役に立つのおなべのネタバレレビュー・内容・結末

逃げるは恥だが役に立つ(2016年製作のドラマ)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

◉大枠は恋愛ドラマでも、現代における様々な社会問題(結婚観、出産、育休、シングルマザー、貞操観念、自尊感情、就職難、転職、リストラetc...)を含んだ社会派風刺ドラマだった。

◉特に印象深かったシーンや事象のみ抜粋

1)初めての新婚旅行の際、マムシ精力剤を隠すために慌てふためき結局変なスライディングで精力剤を隠そうとした平匡さんの不自然さに爆笑。

2)やっさんの離婚。シングルマザーで子供を育てていく事がどれだけ不安で大変なのか現実的問題を直視した。経済的な問題は当たり前に負担になるけど、何よりろくな社会保障もない昨今の世の中で将来子どもを1人で育てていけるかどうかの不安は尋常じゃない筈→(実家の有り難み)

3)初めて家でそうゆう雰囲気になった時の《星野源》《新垣結衣》の自然なよそよそしい演技力。間と目配りと立ち振る舞いが絶妙だった(結局平匡さんに拒絶されたけど)。

4)沼田さんの迷惑防止条例スレスレのスパイ行為…笑。椅子の後ろに隠れて聞き耳を立てたり、人の部屋勝手に覗いたり..でも肝心な時に頼りになる存在。

5)自己肯定感と恋愛の密接な関係。奥手な平匡さんの気持ちも分かるし、分析しがちなみくりさんの気持ちも理解できる。過敏になり過ぎても自分がストレスが溜まるし、配慮を蔑ろにしても向こうがストレスが溜まる。2人の間にすれ違いが生じてしまうのは自然なことで、信頼関係もできてないカップルにとってはあるあるな気がした。

6)演出のおもろさ。情熱大陸を初めとする数々の有名番組をパロった斬新な演出。正直馬鹿馬鹿しさはあるけどそこが面白い。

7)若者の就職難について、大学院卒が就職できない狂った世の中。実際問題ドラマに限らず男尊女卑や契約社員の首切り、リストラ等々は今に始まった事じゃないのに一向に改善しない現実。仕事はないけど家族を養わないといけない、給料は低いけど家賃や生活費は払わないといけない、仕事は楽しくない,,,正直ほとんどの人がどれかに当てはまる筈。ワークライフバランスって言葉はあるけど、結婚や出産の事を考えると色んなものを妥協しないと実現は難しい気がする。好きな事だけで生きていくのって本当に難しいって考えさせられた。

8)《新垣結衣》の器量。30歳前後にして高校生もいける器量には吃驚。作中で選挙党員やチアリーダー、バスガイドにスポーツ選手etc...様々な変装を違和感なく、お洒落な服をなんの違和感もなく着こなせる器量が半端なかった。

【まとめ】
結婚ってそんなに単純で形式的な物じゃなくて、そこにはパートナーとの人生や周囲の人に対する責任が生まれるものなんだって改めて思わされた。もっと複雑で様々な要素(金銭的問題や家族関係、就職や出産、人生観や価値観)が絡み付いていて、色んなものを背負う覚悟と努力が必要になる。人生は理不尽の連続で思い通りに進む事なんて何一つ無く、誰もが気持ちだけではどうにもならない壁にぶつかって苦労するもの。それでもお互いに助け合って乗り越えて、正解の無い答えを手探りで見つけていくのが在るべき夫婦の形であり“結婚するとゆう事”なんだって思えた(拡大解釈しすぎな気もするけど…)。

ただ大前提として、一家事代行業者が芸能界随一の別嬪さんである《新垣結衣》であるから成立するという事だけは忘れてはいけない。
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