デデデおおきみ

真田丸のデデデおおきみのネタバレレビュー・内容・結末

真田丸(2016年製作のドラマ)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

【信繁青春編】
武田勝頼公を「うつけの二代目」として描かなかったこととても嬉しい
勝頼公だけでなく、敗者の大河を描くゆえか「時運に恵まれなかった人」としての描写が各人なされていたように思う
主家滅亡に加えて拠った織田が直後に倒れたことで、真田の乱世が極まったような状態だった
この頃の昌幸あまりに輝いてた
「どーうしようかのー!?」「父上ぇ…!」「どう攻める?ニヤリ」の真田昌幸信幸親子と出浦昌相の掛け合い一生好き
すぐ「わしゃ〜知らんぞ」するのも人間味あって好き
おばば様もよかった
これぞ真田の生きる道!だとか、これは勝ち戦の空気、私には分かります!とか啖呵を飛ばしつつ「まあこんな大いくさ初めてですがね」みたいなの聞くと気も抜けつつ真田が纏まってた
国衆上がりの真田が大大名と渡り合うには一丸となるのが一番
後半になるにつけこの頃の有り様が…

【大阪編】
やっぱ茶々と秀吉は好きになれん、と正直思った
これが多分なかなか信繁に心傾けられなかった理由
幸せになって欲しいのです、の心、忠義を向ける、武士の特殊な精神認知な気がするな

【三成・九度山編】
あまりにしんどい

人に配慮せず昌幸にも恥をかかせた三成も、好きになってたところやった
がんばったのになあ
北政所様も佐吉を信じてくれなかったの悲しすぎたし加藤主計頭清正との喧嘩別れも辛かった
にしても2度目の上田攻め、勝ちたかったなあ
毎度時流に裏切られる
こんなに有能なのに
「各々方、ぬかりなく」が好きだ
ぬかりなくやったのになあ
昌幸がいっちゃん好きやった
なんでこんな有能の最後がこんなことになるの???
出浦昌相殿が最後まで野心を発露させる姿、史実には無いくだりと思うけども胸打ち心揺さぶられた
でも昌幸が返せるのは弱々しい「あいわかった」だけとかいう苦しみ
有能は成功して満足気にこの世を立ち去り願いたい
最後まで重用されたふうだったのも本多正信が好きになった理由かもしれない

【大阪の陣編】
敗軍の将を描いた
豊臣家守護も主家の領地奪還も天下統一も一家団欒も安寧も何も得られなかった男を描いた
多分に盛り込まれたであろう創造された人格は、平和を愛し家族を愛し忠義を重んじ、しかし戦にしか生きられぬ男として、真偽怪しい武勇の逸話や諸将からの認知具合なども含め成立した
その中で、「真田左衛門佐幸村は常に、勝算高い策を次々発案し、忠義を立てたお家においてはどんな波風にも屈せず、皆に一目置かれた」「だが味方の手落ちや不運が立て込み、時運を掴めなかった」とした
実力十分、されど、とした
実のところこの物語に救われる人生を送っている人は多いのでは
食えないタヌキとして苦手だった本多正信だけども、あまりに手際が見事なものだから、磐石に揺るぎない能力に裏打ちされたホンマモンの大物だったから、最終的には好きになってしもうた
賢者は好きだ

【総括】
にしても戦略軍略調略博覧会だったなあ
昌幸の凡人には行き当たりばったりに思える奇策も本多の老獪な調略も幸村の定石を踏まえた分かりやすい最善策も全部見てて楽しかった
合戦の世は終わった、と繰り返されながらも多くの戦を見た
合議軍議和議もそれよな