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Motherのmiiiiiiiio16のレビュー・感想・評価

Mother(2010年製作のドラマ)
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「このドラマは、現代を生きる『女性たち』の物語です。」
こう紹介されるこのドラマ。

「女性たちが、それぞれの生きる道の中で、自分を見つめ直し、自身で生き方を探し求めていく物語です。」

虐待された子供を誘拐して育てる話でしょ?って思っていたけど、これを読んでから観ると、視点が変わった。

虐待する母親、尾野真千子演じる仁美がなぜこうなったのかを描く回は、カルテットの神回、夫婦がすれ違っていく様を描いた6話と匹敵するくらいに(こっちの方が先だけど)納得がいくものとして描かれていたと思う。
やはり、尾野真千子は上手い、こういう役をやらしたら右に出る人はいないんじゃないかというくらいに上手い。
子供をゴミ袋に入れて捨ててしまう、鬼のような人間だけれど、ではいったいどうして1人の母親が鬼になってしまったのか。
だんだんと余裕がなくなっていく様が、観ている方も辛く、目を覆いたくなるくらいだった。

印象に残った、奈緒が仁美に宛てた台詞。
「抱きしめることと傷つけることの間に境界線はなくて、子どもを疎ましく思ったことのない母親なんていない。
子どもを引っ叩こうとしたことのない母親なんていない。
そんな母親を、川の外から罵る者たちがまた一つ母親たちを追い詰め、溺れさせるんだと思います。」
「でもあなたは一線を超えてしまった。」


「このドラマの中枢となるキーワードは『母性』です。」
このドラマで、いくつもの母性に出会う。
子供を産んだことのない自分にとっては、果たしてこの感情が未だよくわかっていない。
それでも、これほどに強い気持ちってないのではないかと思うくらい頼もしい、優しくて、深い。それはわかった気がする。
そして、産んでいなくてもこの感情は芽生えるものなんだと。

奈緒と継美の話がメインとして描かれるけど、怜奈と仁美、奈緒と葉菜、奈緒と籐子、それぞれの親子のエピソードも、十分すぎるくらいに素晴らしかった。
というのも、本当にキャスト全員の演技が素晴らしい。

松雪泰子の「継美〜〜」と泣き叫ぶ姿は、容疑者Xの献身の堤真一を彷彿させた。
三姉妹の真ん中っ子、酒井若菜「美容院に行った日に雨に遭うくらいの悲しさ」ってとこの演技で泣いた。倉科カナの奈緒ねぇって呼ぶ末っ子らしい天真爛漫さも可愛いかった。

田中裕子さん、この方は本当に不思議な存在感。坂元さん、是枝さん作品でよくお見かけするけど、正直いつも同じ感じのイメージです。いい意味で。共通してるのはいつも完璧でない、強く儚い人間らしい人間なところ。

そして、芦田愛菜ちゃん。
特筆すべきはやはりその演技力。俳優って言葉は、年齢関係なく使えるんだって思うほどのものだった。このドラマはこの子でなければ絶対に成り立たない、というくらいに健気で愛らしく、利発的な継美を作り上げていた。今の成長ぶりをみていると、本当もこれに近い子なんだろうなって思う。

あと山本耕史の役、段々好きになった。
女性がメインで描かれるなか、唯一見せ所のある男性役だったのでは。

最後に、相変わらずの坂元さん脚本でいっぱいいい言葉出てたけど、一番心に残ったこのことば。
「大切な人がいることがいちばんの幸せなのよ。」
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