燦

MIU404の燦のレビュー・感想・評価

MIU404(2020年製作のドラマ)
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多数派でなかったために社会から見捨てられた人間や道を踏み外しかけた人間に光を当てて、彼らをしっかり見つめる・手を差し伸べようとする。私たちには周りの誰かを受け止める力があるのだから、そのための選択をしよう、というメッセージが全編を貫いている。そんな熱いドラマだ。

キャストも脚本も主題歌も最高で、ゲストも豪華で痺れる(感電!)。

#7
共感と憧れをベースにしている人間ドラマは多いが、7話ではいい意味で「理解できない」ことが起こって、共感や感動とは全くちがう種類の思いが湧いてきた。その重さはとにかく衝撃的で、「神回」とはまさにこのことだと確信した。

その一方で、どこかすっきりしない思いが残った。職業ドラマでメインキャラクターの身内を繰り返し事件や事故に絡ませることで感動の要因を作るのはありがちな感じがするし(密かにコードブルー戦法と呼んでいる)、ラストに予想外すぎる展開を用意することでリアルタイム視聴の推奨に繋げるのは「あなた番です」みたいだ。これらの形式の引力は凄まじいけれど、「感電」が象徴するような刺激ばかりがテレビドラマの醍醐味ではないことを心に留めておきたい。

不特定多数に対するインフルエンサーになれなくても、パチンコ玉を受け止めた伊吹のように、また今晩の志摩のように、目の前にいる人に手を差し伸べられる人間は魅力的だ。ただし、然るべきタイミングで手を差し伸べることは意外と難しい。こんな風に現代を生きていくうえで大切にしたいことを教えられている気がする。

誰かの脆さを受け止め続けてきた伊吹自身が苦悩し、伊吹に助けられてきた志摩が崩れそうな彼を救うという2人の関係が発展する回だったからこそ、心を動かされたのかもしれない。
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