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太陽の子 GIFT OF FIREのJINのレビュー・感想・評価

太陽の子 GIFT OF FIRE(2020年製作のドラマ)
3.7
最初は原始物理学によって世界を変えたいと前向きだった学生達が、戦時下で兵器を作ることに対して葛藤する様子がよく出てた。
原爆投下後の広島を目の当たりにして、自分達のやってることの一つの解答を見る。
観終わって何だか虚しい感覚に襲われた。
どんな新しい技術も結局は人間がどんな風に使うかだろう。

「人間はエネルギー資源を求めて戦争をする」の一言が重い。
更に原始的には土地と水と食糧だろう。
誰かが不平等に生存そのものを脅かされるシステム下では何かが起こる可能性は常にあるが、「核の抑止力」なんてものは幻想だと思っている。
同じ過ちを繰り返し続けている人類が利口だとはとても言えない。

75年経った今でも、戦争の傷跡は未だに根深い。
戦争=人が殺し合うのが当たり前の世界。
戦争という行為を肯定する世界にしてはいけない。
戦争するのも仕方ないなんて流されてしまう人間になってはいけない。
そんな風に仕向けるのに利用される大きな要因が「教育」と「報道」。
それらによる洗脳や煽動が進めば、国のあり方の根幹にも関わってくるし、健全に生きて行くための礎も揺らぎかねない。
その影響は近隣諸国を見渡してみてもわかるけど、日本も含め、それぞれの国が今何を「優先」しようとしてるのか?見極めていかねばならない。
実際問題、今、世界中でいろいろと均衡が崩れゆく緊張感を感じているし、国内でも軽々しい過激な意見が増えるにつけ、日本の未来を危惧してしまう。
本来なら唯一の被爆国が率先して核兵器廃絶を訴えるべきはずなのに、何なんだろう、この国は?

本当により良い未来にするためにはどうすれば良いかというポジティブな話ができる国であってほしい。
言いたい事も言えない世の中で、子供達が戦争に駆り出されてしまうような未来にしてはいけない。

原爆ドームを実際に見たのは実はまだ去年のこと。
このドラマを見て、あの時広島平和記念公園をぶらぶらしながらいろんな思いが込み上げてきたことがよみがえってきた。
また足を運んでみたくなる場所だ。
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