t

ジェイコブを守るためのtのレビュー・感想・評価

ジェイコブを守るため(2020年製作のドラマ)
4.7
クリス・エヴァンスきっかけで観始めたドラマ。

もう、どストライクだった。
雰囲気、物語、構成、音楽、映像、演者など全ての要素が最高に噛み合っていた!!!

Apple TV+の作品群のクオリティ異常だと思う。お金あるんだろうな。
多分日本、いや世界的にもまだ注目度が低いだろうからもったいない。最近作品がどんどん増えていて嬉しいけど、このまま注目されずに廃れてApple TV+のサービス停止なんてことにならなきゃいいんだけどな。

以下感想、ネタバレ注意

















人間の信頼関係、難しいな。
自分がもし同じ立場だったら本当に子どもを信用できるのだろうか。
子どもを持ったことがないからわからないけど、真実をありのままに受け入れることと脳死で子どもを信じることってどちらが大切なんだろう。

もし自分がジェイコブの立場だったら絶対に疑ってほしくないし、親からの信頼を失ってしまったら人生狂ってしまいそう。だから絶対に信じてもらいたいし、最後まで味方でいてほしい。
でも親だったら?最初は信じていられるかもしれないけど、あまりに子どもに不可解な要素が多すぎたら?それでもまだ自分の子は犯人じゃないと言い切れるか、疑う気持ちが少しでも出てきてしまうんじゃないだろうか。

おもしろいと感じたところは、一度視聴者に安堵(ハッピーエンド)をもたらすところ。
仮にこのハッピーエンドでドラマが終わっていたとしても、一度殺害の容疑をかけられた事実に変わりないし、職場や学校などの今までの付き合いが元通りになるとは思えない。それを考えると、これからこの家族はどうやって生きていくんだろう?この事実とどう向き合っていくのだろう?逆にまわりの人たちはどう接していくんだろう?と、この時点で十分 考えさせられることがありおもしろいと思う。(これは決して娯楽的に"面白い"と言っているのではなく、僕らがこの先いきていく中で突きつけられるかもしれない課題として考える余地がある事を言いたくてこのような表現に。上手く言語化できないので"おもしろい"という言葉を使っている。)
旅行先の女のコもニュースでジェイコブのこと勘付いてたしね。実際に冤罪をかけられた人たちが今現在僕らと同じ時を生きているのは紛れもない事実で、当人たちはその事実と共に毎日を生きている。人によって考え方、捉え方は違うはずであり、彼らはこの事実とどう向き合って生きているのだろうか。とても考えさせられるし、そこに"自分は何のために生きているのか"という問題へのヒントがありそうな気がする。

話がそれてしまったけど、上はまだ物語の途中であり実際にはハッピーエンドで終わらないのがこのドラマ。
この展開こそが、この作品の一番の魅力だと思う。
それは視聴者に一度ハッピーエンドをもたらしたうえで、一気にぶち壊してくるところ。
それもジェイコブが犯人だったという単純なバッドエンドじゃなくて、真実を闇の中に葬ってしまう意地の悪さ。
視聴者は辛い時間からようやく開放され幸せそうな母ローリーを横目に父アンディと同じ心理状況に無理矢理立たされるのがもう酷すぎるし、それがあったからこそアンディの告白シーンがすごい引き立てられたと思う。
そこからのローリーの行動は「親と子」の信頼関係を繋ぐための一つの最終的な答えだったのかな。

最終局面におけるアンディとローリーは精神的にとても追い詰められていたのが伝わってきたけど、この二人の極限状態を視聴者に伝えるのって相当大変だったと思う。人間の極限状態ってまともに考えて行動できない状態だろうし、それを人が意図的に表現するって難しいんじゃないかな。
でもこのドラマはその心理状態を視聴者に上手く追体験させられていたと思う。ドラマという形式だったからこそできた素晴らしい作品だった!!

レビューをみてみると少なからず真犯人が明らかにならなかったことに対して不完全燃焼感を味わっている人がいるようだった。
たしかにミステリーとしては犯人が誰なのかは大事なのかもしれないけど、自分はこのドラマはそこに重きを置いてないんじゃないかなと思った。
あくまで一個人の感想だけど、このドラマの主題は人間たちの心理描写だったんじゃないかなぁ…

本、映画や音楽etc...
芸術作品って、受け取る人の数だけいろんな捉え方があって本当におもしろい!
t

t