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呪怨:呪いの家のTOTのレビュー・感想・評価

呪怨:呪いの家(2020年製作のドラマ)
2.0
90年代Jホラーを視点を家に変えただけ。
ホラーには女性を嗜虐する、または女性を恐ろしいものとして描く美しさ、様式美があることは認める。
でも、女性蔑視の嗜虐を、2020年の今また繰り返すことに無理がある。

女たちは残忍にレイプされ、または妖婦のように貶められ、殺害され、恨みを持つ。
男たちは加害し、または傍観する。

女は身体を略奪され、解体されて
男はただ消えるだけ

無傷で生き残る語り部の男は物語の権力者。
物語を動かす脚本家や監督は物語構造の権力者。

不均衡。
30年たっても圧倒的に不均衡。

前半は女を痛めつけ、後半になって家の霊的な超自然的現象を散りばめ出すのも、やたら実在の事件を絡めたがるのも、脚本の肉付けの浅さを感じさせて失笑。
三宅唱の演出はいい。
ただし、ホラー部分以外。
ホラー部分はちょっと陳腐。

学生時代の私は90年代Jホラーが好きだった。
女性蔑視を感じてはいたけど、その女性蔑視も含めた社会の不条理さや、生きることへの漠然とした不安を恐怖に変えて描いてくれてる気がしたから。
でも、今は肯定的には思えない。
なぜなら私は今を生きていて、たとえ過去の物語であっても、女性蔑視の嗜虐を再生産する物語になんの楽しみも救いも見出せないから。
そんなこと無しに、今の時代のホラーがあると思ってるから。
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