三畳

いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまうの三畳のレビュー・感想・評価

4.5
ここまで人がなぜその人を好きになったかを丁寧に書いてくれるドラマがあっただろうか!
恋愛ドラマなんて型と結末と関係性とシチュエーションありきで、なんで主人公がその人を好きになったのか、なんで相手が主人公に惹かれてるのか、がごっそり省略されてるものがほとんど。
でもこのドラマの主人公2人はお互いが惹かれる必然性をひしひしと感じる!(※当て馬たちはよくわからないが。)

ちょっと善人すぎて誰からも好かれてしまうけど、「そうじゃない部分」に惹かれたことが、経緯と脚本と、じっと相手を見つめる演技からよくわかる。そこに何より感動した!
むしろ、恋愛を通して「気高い彼女が何を最も大切にしているか」を描き切ったとも言える!

中でも地元では自由を奪われていたからこそ自分の意思で選択できることに重きを置いていて、それを尊重しなかったヒール役に一瞬で冷めるくだりとか非常に良かった。

さすがに不幸の申し子すぎて最終話前の事故は要らなかったと思うのと、ここまで条件が揃っても素直にならない展開にはもしかして不幸に慣れすぎて自己犠牲でしか喜び感じられないタイプか?と最後の最後でイラついてしまったけど、
(元々有村架純がそういう役多かったからあまり好きじゃなかったけど花束みたいな~や石子と羽男みたいなあっけらかんとした役はめちゃくちゃ輝いてると思うので、)
ラストの言い放ち方で大好きな気持ちで締めくくれた…!

頑張ったことは自分の心にも関わった周りの人の心にも残るというメッセージにはすごく共感したし、頑張ろうと思えた。

最も惜しいのは強い俳優陣の中で西島隆弘が一人だけ棒読みで、だから実はかわいそうなんだと言われても全然さっさと退場してくれて構わないしちっとも切なくならなったことかな。高橋一生と逆の配役だったらどんなに良かっただろうね…。森川葵もずっと全然好感持てなかったな。

高畑充希・永野芽郁・松本穂香・芳根京子・満島ひかり(豪華だなー!)は役者の良さをよくわかってる人が脚本書いてくれたんだろうという憑依度で魅力的に生きていて良かった!

過酷な労働環境でボロボロのボロ雑巾ぐらい使い古されても光を失わない二人、都会の隅っこのゴミ置き場みたいな惨めな場所でレストランからムーンリバーが漏れ聞こえるシーン、恋の力をありありと体感できてすごすぎた。
その部分の歌詞の和訳
「ふたりの流れ者が 世界を探しに出かける
たくさんの見るべき場所がある
僕らは同じ虹の根元にある幸福を探し求めているんだ」
三畳

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