乱暴な喩え方をすれば、「ロイヤル橋田壽賀子」。王室の渡る世間に鬼はなし。
つーか、王室の所業が鬼。でも、キャラがイノセント（＝おバカ）でチャーミングだから、他人事として笑える。
『ブラックアダー』や『Let Them Eat Cake』みたいな王朝シットコムを、現役の王室をネタに展開できるのが凄い。
ケイトがジプシー出身で、妹のピッパが姉に嫉妬して義弟ヘンリーをたらしこんだり、カミラが「パーカー・ボウルズ朝」の樹立を企んでたり、チャールズ皇太子が双子の兄貴を68年も幽閉してたりと、現役の王朝とはいえ、ここまで突き抜けて茶化してしまえば、クレームを入れる方が逆に不粋なのかも。ネタにされることも含めてロイヤル公務。伝統の圧倒的な強みと余裕。
皮肉やウィットのセンスは英国ならでは。ハイブラウな歴史ネタから下世話なゴシップまで、可処分所得のそこそこ高い知識層や新聞講読世帯なら存分に楽しめるはず。もちろん、橋田壽賀子的な低レベルのイケズやキャットファイトもあるから、受信料払わずにテレビ見てる連中やフリーWi-Fi目当てで朝から晩まで公立図書館に詰めてYouTube眺めてる無産市民でも十分楽しめる。実はバカにされてるのが自分たちだと気づきさえしなければ。
『ザ・クラウン』と併せて観れば面白さ倍増。劇中のヘンリーも観て、ご先祖のスキャンダルを知ったぐらいだから。あと、意外とこっち観てる方が王室の好感度は上がるんだよね。
