たむ

アメリカン・クライム・ストーリー / O・J・シンプソン事件のたむのレビュー・感想・評価

4.5
世紀の大スキャンダル裁判のOJシンプソン事件を連続ドラマにした作品です。
本作はあまりにも有名な事件を驚くべき脚本と多様なキャラクターのドラマが展開する凄まじい傑作です。
ロドニー・キング事件直後に再び人種差別の暴動の発火点となるオープニングから、テーマは殺人事件の裁判が人種差別論争が始まることを示唆しています。
全10話で完結するのですが、本当にテーマが広い。
黒人の殺人事件が、白人が黒人を迫害する人種差別の問題へとすり変わり、黒人の勝利をおさめるものの、より迫害されているのが男性からの女性への性差別だったことも暴かれます。
そしてOJシンプソンという人物の訳のわからなさ。情緒不安定、無罪の主張、結局殺したのか殺さなかったのか、真相は闇の中。
おそらくフィクションであったら、こんな人間描写はあり得ない、と評価されてもおかしくない恐ろしい人物像は、捉え所のなさでジョーカーとも呼びたいほどです。
人種差別は人間として最悪の行為であり思想であると思います。
しかしそれを悪用した例があった事も、知っておかなければなりません。
被害者、真実すら霞ませてしまう、その歴史を知るためには、このテレビドラマが最も観るべき作品の一つです。
たむ

たむ