つきみだんご

セイレーンの懺悔のつきみだんごのレビュー・感想・評価

セイレーンの懺悔(2020年製作のドラマ)
3.9
原作既読。テレビ会社に勤務する2年目の報道記者・多香美は、ある日起こったセンセーショナルな女子高生殺人事件の謎を追ううち、被害者が学校で虐められていた事実を突き止める。しかしその姿勢は捜査一課の刑事・宮藤からギリシャ神話の「セイレーン」と揶揄された。マスコミはしょせん、「視聴者を耳触りの良い言葉で誘って、真実と名付けた娯楽の中に引きずり込む」ものでしかない。そうマスコミに懐疑的な目を向ける宮藤と、信念を胸に報道に挑む多香美の思いが交錯する。
果たして真実はどこにあるのか?マスコミ、両方の視点を交えながら徐々に事件の真相が顕になっていく。

報道のあり方が問われる骨太なヒューマンドラマ。最後に残る真実が苦く胸に残るが、だからこそ報道するべき価値があるのだろう。個人的に番組責任者・兵頭が非常に自分の欲望に忠実な男で、見ていて清々しかった。また、中山七里氏の他作品にも数多く登場する名刑事・宮藤を高嶋氏が好演。他ドラマの刑事とはまた少し違い、クールで冷静な捜査スタイルや徐々に多香美と心を通わせていく姿が印象的だった。