つきみだんご

テセウスの船のつきみだんごのネタバレレビュー・内容・結末

テセウスの船(2020年製作のドラマ)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

殺人犯の汚名を着せられた父親の冤罪を晴らすために、タイムスリップした息子が奮闘するサスペンス。

31年前、宮城県の小さな村で起こった小学校での無差別殺人事件の犯人として警察官・佐野文吾が逮捕された。"殺人犯の家族"としてのレッテルを貼られて息を潜めるように生きていた息子・心は、ふとしたきっかけで過去にタイムスリップし、父親の冤罪を確信するとともに真犯人の魔の手から家族を守るべく、先の見えない闇の中を手探りでもがき始めた。

原作未読。サスペンスより家族ドラマの色が濃い。まさに"家族"という存在の重みをひしひしと感じられる作品だったように思う。過去の佐野一家の温かみに毎週心が洗われるようだった。
もちろんサスペンスとしてもかなりハラハラさせられた。

特に、鈴への妄執に囚われ常軌を逸した犯行を重ねるみきお役の安藤さん・柴崎さんはさすがの一言だったし、ある意味でそれ以上の"表情の圧"を見せつけた木村さつき役・麻生さんの怖さと言ったらなかった。ドラマオリジナルのふたりの結末は個人的には好きだった。

ラストは伏線回収がいくつかおざなりなところもあり、またドラマオリジナルの犯人がいまひとつ物語の中にハマりきらなかった印象。佐野一家のハッピーエンド(複雑なものではあるが)には素直に顔が綻んだので、あのシーンのためだけでも最後まで完走出来て良かったと思える作品だった。