ひば

秘密の森のひばのレビュー・感想・評価

秘密の森(2017年製作のドラマ)
5.0
1つの事件、地味なこと運びをよくぞここまで盛り上げた。長い間共にしてもイコール理解掌握ではないことを叩き込んでくる話。わたし自身も13話まできてもシモクさんとソ検事にどういった感情を向ければいいのかまだわからないでいた。フィクションに寄りすぎるわけでもなくノンフィクションでいるような人物でもなく。前半戦もシモクさんについては喜怒哀楽の哀しか読み取れなかった。部屋で気失って飲み物こぼして一人でトイレットペーパーで拭き取る一連の動作が年代物の哀しみあれは生理で夜一人で下着洗う女のむなしさと重なる。シモクさんは今の世界か自分一人の世界か選べって言われたら躊躇なく後者選びそうかなって思ったけど、今の僕は何も感じないからって言いながら前者を選ぶかもしれない。本当は何かしらは感じてるけどどのみち自分の身に起きることは他者には変えられんしって言うかも。未知に賭ける程の価値がないから、とそんな感じかなと。シモクさんに対する評価"暴力的だが残酷ではない"がずっと残ってる。シモクさんは正義の拳で早々に殴り始める人では全くないし突然暴れる人でもない、でも人には理解できない意図ない暴力性が時間差で自分を罰することになる人生から諦め半分で目もそらしてたから何度も繰り返してたんだと思う。自分に憧れ若く熱意に溢れ巨大悪と闘う主人公格のヨン検事への冷淡さを見る度に心が離れた。当事者の介入は危険とはわかっているけど、1話でヨン検事を無視した時から何故こんなに部下に厳しいのか疑問でならなかった。そうやってそんな積み重ねを、見なかったことにしてきたお前もシステムをつくった一員であると回りに回って喉に捩じ込む。疑心暗鬼でしか生きていけなくなった世界で出会ったまっさらなハン刑事以外に厚いバリアを張ったことでより周りを見えなくしたのだろう。シモクさんとハン刑事、ハン刑事がずっと血だらけで走ってたシモクさんに治してあげられないけどガーゼを貼る存在で、シモクさんはハン刑事が転びそうになったら咄嗟に手を貸して走り続けることができるようサポートする存在。既存のストーリーなら主人公が成長するために殺された女が写真立ての女になるところを、自分の可能性に満ちた自分の写しが飾ってあってそれはすごく素敵だなと思った。シモクさん7割くらいの確率で直前ご飯ストップが入って可哀想。食べる意欲だけ食べて生きてる怪人になってた

ところでシモクさん、『コンタクト』見たの?(「宇宙人はいると思う?」「ええ、スペースがもったいない」)
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