ろく

新聞記者のろくのレビュー・感想・評価

新聞記者(2021年製作のドラマ)
4.5
攻めてるぜ!攻めすぎてるよ!Netflix!もう一気に観てしまったよ。

まず映画版で不満だった①明らかなるフェイクによるダダ漏れな終わり②主役の滑らかさが見事に解消されている。映画版では結果に僕は大きく不満だった。現政権の批判のはずが明らかなるフェイクじゃん、それって批判にすらならないって。さらに主役のシム・ウンギョンにどうしても乗れなかったのも事実(まあどこの事務所も拒否したらしいから仕方ないんだけど)。でも今作はこの2点を見事に解消しているわけ。これで文句ないでしょって。ええ、文句ないですよ。

モリカケ問題の一番のまずさって現政権に「誠実さ」がないことなんだよ。コロナなのにまだモリカケって意見もあるけど、実際にはそんなことたいしたことじゃないじゃんって言葉が見える現政権の「不誠実さ」があるわけ。それはしっかり追わなければいけないと思う。

元ネタは望月さん。そう、あの「i 新聞記者」の人ね。この人の考えってその不誠実さを直そうってことなんじゃないかな。お金の問題ではないんだよ。国民が「舐められている」ことこそが問題なんじゃないの。

まあこのドラマに戻るととにかく、その「舐めた人たち」の下でいかに翻弄されてしまうか。そこが痛いほど伝わるんだよね。みんな板挟みなの。綾野剛も吉岡秀隆も田口トモロヲも萩原聖人もみんなそうなの。悪いことは解っているけどどうしようもないつらさ。それがこの映画では画面で、演技で伝わってくるのよ。

そしてユースケ・サンタマリアと佐野史郎の怖さね。ただ間違ってはいけない。彼らも「嵌めよう」と思って動いているわけではないんだ。あまりに「今の生活」を崩したくないからなだけなのかなとも思っている。誰が悪いかの責任論でなく、「悪い現実は変えねばならない」という改革論が必要かとも思いフムフム。

とにかくドラマではありえないくらいの重厚さよ。そしてこんなドラマを作ることが出来ない(このドラマでも腰が引けている)民放の弱さよ。日本のテレビ界よ、忖度だけでは自己崩壊するよ。
ろく

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