サマルカンドサイトウ

ラスト・ツァーリ: ロマノフ家の終焉のサマルカンドサイトウのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

1886年のニコライ2世戴冠から1918年の死までのロマノフ王朝最後の君主の姿を描く。
ドラマの完成度、史実と再現度は5人ほどロシア史の専門家が保証している。
しかも面白いのは、この専門家のONがそのままナレーションになっていることで、これはもはや単なるエンタメではなく、エデュケーション要素にもなっている。

僕も一応は1905年革命期で修論書いたので、帝政ロシアのこの時期は詳しいと思ってますが、
ドラマの中では知らないことがいっぱい。
例えば、血友病のアレクセイが生まれた直後のへそのうからの出血が止まらなかったとか

ストルィピン暗殺未遂がかれの別荘もろともの爆破で、娘が重傷をおい、ラスプーチンはその治癒にもしゃあしゃあと現れる。
その後の2人の権力闘争の様子もリアル

そして、何よりニコライ2世はたんなる優柔不断な優しい男だと思っていたけど、そうではない。
頭の中のロシアが何世紀も前の近代概念が生まれる以前の中世ロシアそのもの。
想像力の無さによる判断ミス。
そして彼は人民とともにいようとの考えはなかった。

ロシア革命に興味がある人が見てもいいだろう。エスタブリッシュとピープルの相克と人はなぜ昨日まで信じたものを投げ捨てるかがしっかり描かれている。

100年前の出来事を現代人と同じ人が起こしたものとして、その感情にしっかり思いをはせられます。