菅藤浩三

ザ・商社の菅藤浩三のレビュー・感想・評価

ザ・商社(1980年製作のドラマ)
4.5
安宅産業の破綻という実話をもとにした、松本清張の’’空の城’’を5時間近いドラマにしあげた作品。本妻もいる山崎努が、別に口説いてもいないのに、水沢アキと夏目雅子の両方にもてまくる。しかし、それは傍論にすぎず、メインはカナダのニューファンドランドでの石油開発をめぐる丁々発止のかけひき、そして、アメリカ支社と本社とのもつれという、企業ドラマ。夏目雅子がお嬢ちゃんから脱出した野心まんまんの作品。ライバルの佐藤慶ですら、さほど活躍させてもらっていない。本社の社主:片岡仁左衛門と女中の中村珠緒の存在感が良かったし、まだまだ美術品を買う小間使いの森本レオがウブな男性役をしていた。石油雑誌の記者勝野洋は太陽にほえろテキサスのまんま。カナダ・ニューヨーク・ロンドンのロケが下手な映画よりも金を使っていて素晴らしかった。
菅藤浩三

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