オオイタ

僕らのままで/WE ARE WHO WE AREのオオイタのレビュー・感想・評価

僕らのままで/WE ARE WHO WE ARE(2020年製作のドラマ)
5.0
すごいものを見たというよりとんでもないもの、恐ろしいものを見てしまったという感じがする。4話までは現代的な青春ドラマの傑作でこのままだったらすぐ見終わってしまうなど気楽に考えていたのだけれど、5話からのトーンチェンジ(1話ごとに少しずつ変調してる)で重苦しくなり、例えばケイトリンの父親がトランピストで、後半はトランプが大統領になるという大きな政治的転換期など挙げればキリがないが、とにかくなかなか見るのに戸惑った。

そして最終話、多くの青春を題材にした作品が描けなかったその先をルカ・グァダニーノは視聴者に提示にしてみせる。言い換えれば、アイデンティティ(自我)そのものをめぐる闘争であり、見るのに体力がいるのもそのはずで、多くのひとが見つめることができない問題を写し続けているからだ。ラストを迎えたフレイザーとケイトリンの眩しさは他の登場人物がなしえなかった形での成熟を迎える。その他全ての問題を捨て去って。
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