脂樽

岸辺露伴は動かないの脂樽のレビュー・感想・評価

岸辺露伴は動かない(2020年製作のドラマ)
4.1
これは実写版 「岸辺露伴は動かない」じゃなく。
ドラマ版「岸辺露伴は動かない」だ。

夕食の時間に視聴。
現時点で「ジャンケン小僧」まで視聴した。
次は「ルーブルへ行く」を観る予定だ。

以下感想である。

俺はこの作品をちょっと舐めていた。
高評価は聞いていたが、やはり実写化という言葉には無条件で警戒してしまう癖がある。
云わば呪詛だ。
呪いの言霊だ。
言霊は力を持ち、「実写化」という言葉は悪しき力を内包している。
殊、漫画に関しては多くの作品がそれを体現している。
「かぐや様は告らせたい」「進撃の巨人」そして岸辺露伴が初登場する4部の実写版「ジョジョの奇妙な冒険」
豪華出演者なんて名前を出している映画は、豪華声優陣よりも作品の評価のあてにはならない。
今回の「岸辺露伴は動かない」も同じ懸念がもちろんあった。
「ジョジョの奇妙な冒険」のコスプレ映画があった後なら尚更だ。

俺はそうした懸念を抱いていたからこの「岸辺露伴は動かない」を今まで見ていなかった。
日本の今のドラマは大抵クソだと思ってたし、高橋一生という男も知らなかったし、この映画が俺の苦手なNHKがやっていることも相俟って、観ようとも思ってなかった。

今回俺がこれを観るきっかけになったのは、この作品がAmazonプライムで視聴可能になったためだ。

結論から言う。
面白かった。掛け値なしに。
俺はこのドラマのおかげで高橋一生という役者を知るきっかけにもなった。
コスプレじゃない、もはやドラマ版の「岸辺露伴」は彼以外考えられない。
なんて言うか、歩行やら体の動かし方やらセリフの言い方など一つ一つが岸辺露伴なのだ。
俺は演技について詳しいわけでもないが、作ってるような違和感を全く感じなかった。

演出も凄い。
彼のギフトであるスタンド。ヘブンズ・ドアを下手なCGを使わないことで表現として成功してると思うし、リッチな表現じゃないのに何よりも世界観が感じられる。
原作愛を要所要所に感じる、制作陣がこだわっているのが伝わってくる。

物語全体としてはオムニバス形式に近く、各シーズンのエピソードは繋がりはあるものの、強い関連があるわけでもない。
世にも奇妙な物語に特殊な力を持った主人公が存在するような話だ。

お気に入りのエピソードを1つ挙げると、
「くしゃがら」になるか。
ある漫画家の編集が残した放送禁止用語のリストを見て、そこに書かれた「くしゃがら」という聞きなれない言葉がなぜ禁止されているのかを調べるうちにその言葉に取り憑かれてしまう。という話である。

原作の岸辺露伴を知っている人も、そうでない人も見てみるといい。
ドラマ版の岸辺露伴、原作の岸辺露伴。それぞれに良さがある。
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