あべり

クイーンズ・ギャンビットのあべりのネタバレレビュー・内容・結末

クイーンズ・ギャンビット(2020年製作のドラマ)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

母を事故で亡くしたベスは、養護施設に引き取られる。そこの地下で用務員シャイベルと出会いチェスをすることに。ベスはチェスに熱中。毎夜天井にチェス盤を想起して頭の中で打ち続ける。そうしていくうちにチェスの腕はシャイベルを唸らせるほどに。チェスを通し人としてもチェス棋士としても成長していく物語。
登場人物たちの服装ー特にベスの服装がすごく洒落ていて見ていて楽しい。さらに魅力的なのがベスの冷たさの奥深くにある熱さがだ。後半は、彼女のこの独特の雰囲気がフックになった。
5話のベニーとベスの対比によるカットがたまらなくカッコよく2人がテンポよく勝ち上がっていく一連のシーンは圧巻だった。また、視聴段階ではチェスのことは全くわからなかったが勝負中のキャストの表情や間が絶妙でいまそれぞれがどんな立場に立っているのかがチェスに疎い自分にも伝わったきた。
母と死別した孤児そして天才。それゆえに人との付き合い方があまり得意ではなく甘え方を知らないベス。感情の起伏が激しく、相手との心のドアを増やしてしまうような人間だなと思った。しかしそんなどこか掴みどころのない所が、ベスが人を惹きつける一つの要因だったのかもしれない。酒やドラッグに依存し、一時は荒んでしまう彼女だったが、養護施設時代の友人ジョリーンと再会し自分の周りにはたくさんの人がいてくれたこと、支えてくれていたこと、また同時にそんな人たちを知らず知らずのうちに自分が支えていたことに気づく。タウンズと再会し、ボルゴフ戦の前のベニー達からの一報を受けるシーンには心を打たれた。彼女ははじめから決して孤独ではなかった。ドラッグや酒のおかげでチェスに勝てていたと感じていたが本当に大切なものに気付き、最後は自分という最大の敵を追い払うことができた。
7話とボリュームもちょうど良く非常にテンポの良いドラマ。
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