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新米刑事ヴァランダーのShinMakitaのレビュー・感想・評価

新米刑事ヴァランダー(2020年製作のドラマ)
1.8
スウェーデン、マルメ市。ローゼンゴード地区の団地に住む青年クルト・ヴァランダーは、ある夜、団地内の公園に縛り付けられ口をダクトテープで塞がれた白人少年ヒューゴの姿を目撃する。団地に住む不良たちが面白がって携帯で写真を撮っており、クルトはすかさず止めに入る。すると突然フードを被った男が現れ、白人少年のダクトテープを剥がして足早に去っていった。少年の口には手榴弾が押し込まれており、テープを剥がしたと同時にピンが外れていた。クルトが助ける間も無く、少年の頭は爆発する。

クルト・ヴァランダーはマルメ南署の制服警官である。翌朝出勤した彼は、ヒューゴ爆殺事件の容疑者として団地に住む移民少年イブラが逮捕されたことを知る。昼間サッカーの試合でヒューゴと喧嘩して「殺してやる」と口走ったことで容疑者となったのだ。イブラと顔なじみのクルトは、彼の無実を信じて独り団地内で捜査を始めてしまう…


創元文庫刊のヴァランダー・シリーズか、ケネス・ブラナー主演のドラマ「刑事ヴァランダー」を知ってる人にしか興味がないだろうなあ…という作品。島耕作にもブラックジャックにもあるように、「ヤング設定」はファン受けがいいのかな。ドラマの世界は前日譚モノが流行りなので、それにあやかったのか。いずれにせよ、原作の世界観とはかけ離れているので、別物と考えたほうが良さそうです。

元々、クルト・ヴァランダーはマルメから少し離れた田舎町イースタのくたびれた中年刑事として登場したキャラクター。仲の悪い父親、別居中の妻、反抗的な娘という家族構成で私生活はグダグダ、ベテランだけど超優秀ってほどじゃない刑事なんです。その等身大ぶりと哀愁がウリだったのに、本作では悩める有能な警察官ですからね。能力を見込まれて私服刑事になるんだけど、対峙する相手が大富豪、ストリートギャング、ネオナチ、武器商人と規模がでかいです。

ま、若くてイケメンな刑事の活躍と恋を描いたドラマとして、「ヴァランダー弱者」にも楽しめるので、Netflixに入っている方は是非。ちなみに創元文庫のほうは、2年前、シリーズ最終巻「苦悩する男」を読了。ヴァランダーの娘リンダが出産しておじいちゃんになってました。しかも飲み屋に拳銃を置き忘れ、少し認知症の気配すら…これを読みながら新米刑事ヴァランダーを視聴すると、なかなか感慨深いものが。
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