おれんじ

First Love 初恋のおれんじのレビュー・感想・評価

First Love 初恋(2022年製作のドラマ)
4.6
宇多田ヒカルさんの楽曲と共に青春を過ごした世代なのですごく楽しみにしていた作品です。(FirstLoveは魔女の条件の主題歌だったな)
正直、ストーリー自体はよくあるエピソードを繋ぎ合わせたものでしたが、それを上回る俳優陣の繊細な演技と趣向を凝らした構成に魅了されました。

洋画のような雰囲気、季節の移り変わりと人の心の変化。散りばめられた伏線。画面に映り込む全てに統一感があり、中でも衣装の色味や濃淡などに意味を持たせているのが素敵でした。

過去と現在のランダムな構成も意外と混乱せず、あの頃ならではの輝きとそれが失われた現在の喪失感のような対比をうまく表していたように思います。

飽きさせない工夫と、制作側も演者側も妥協することなくワンカットに時間を割いているのが伝わり、日本のドラマここまで来たのねと納得のNetflix世界配信です。(エンドロールの長さに驚愕。本気度が窺えます)

90年代カルチャーも丁寧に描写されていて、その視点から見ても懐かしくて楽しくて。
忘れられない恋。ままならない現実。なんとなく続いていく人生。
自分の経験がリンクし、様々な感情が引き出されます。
『First Love』を流し過ぎず、ここぞというタイミングでの効果的な使い方も良かったです。

学生時代を演じた2人がとにかく可愛く、晴道の屈託ない笑顔と真っ直ぐさが最高でした。(木戸大聖くんこれから注目します!)そんな彼が育った家庭の温かい描写も好きでした。恋愛だけじゃなく、親から子への愛情表現も見どころです。

巡り合わせの運命と自分で引き寄せる運命。2人の運命の交錯に涙が溢れて止まらなかったです。
こんな初恋自分にもあったかも…と錯覚してしまうような美しい作品でした。
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