この国の多くの人たちの恋愛の基礎の一部は宇多田ヒカルで築かれているはずで。
今まで何人の人が何度この曲と自分を重ね合わせ、誰かを思い出し、ベッドの上で胸をときめかせ、幸福に身を悶え、これ以上ない程の悲しみに暮れ、失ったものの大きさに苦しみ、この曲に救われてきたのだろう。
「逃げるな!前を向け、息を吸って、進め」
別れ際考える明日の君のこと、きっと明日も泣いている私のこと、永遠に立ち直れる気がしなかったあの日々のこと、最後の煙草の味のキスを今でも何度でも思い出すこと、でももう新しい歌を歌えること。
過大広告だろうとあまり期待をせず観始めたのだが全くの杞憂で、全話ぶっ通し9時間観るのをやめることができなかった。佐藤健の恋愛ドラマを観ないだなんて、目の前にドーナツが置いてあるのに食べないようなもの。満島ひかりのこの演技。見るか見ないかなんて愚問でした。邦ドラマのラブロマンスの原点みたいなドラマ。久々にこんな純潔ドラマを観られたので嬉しい。一話に一節ずつくらい織り込まれる透き通った言葉に救われた。あと也英と綴くん終始水色コーデだったの可愛かった。イエベ秋の私に水色は着られず、あの純潔さはもう手に入らないのかもしれないけれどそれでもやっぱりあの頃の一番純粋に恋していた頃の自分を抱きしめていきたい。
願わくば、実を結んだその恋も、実らなかった初恋も、気づきもしない運命に翻弄され離陸ができますように。