もとしょん

First Love 初恋のもとしょんのレビュー・感想・評価

First Love 初恋(2022年製作のドラマ)
4.9
まず日本らしくない映像にドキッとさせられる。
なるほど、舞台が札幌なのならその異国感も納得。
それでも部分的に見せる赤と青の派手な色使いや、光を淡く感じられるリアルだけどうっとりする映像は、フランス映画を見ているような感覚に浸れた。

それからセリフも良くて、「好きな食べ物はなんですか?」に始まる恋愛に関する台詞回しや、旺太郎の作品のテーマに対して芯を食った言葉などどれもとても良い。

ストーリーも時系列をかなり複雑にはさせているものの、過去を小出しにしていくことで「そういう過去とのつながりがあったのか」という発見と感動があったり、1話ごとに導入のさせ方が全く違うので観ていて飽きない。
このあたりの差し加減が本当に自然で上手いなと感じた。

個人的に一番良かったのがキャラクターとその役者の演技で、特に満島ひかりと小泉今日子扮する二人の母の顔がとても良い。
まず小泉扮する幾波子は、当初毒親のような立ち位置かと思っていたもののそうではなく、だからといって也英が絶対の親バカでもない。也英の幸せ第一というポジションが厳しくも優しくとても見ていて心地がよかった。
対して満島扮する也英は、息子の綴とは離れ離れに暮らしているという間柄だがとても大事に想っている。息子に会うときの成英は、職場にいるときとも恋をしているときも違う母の顔になっていて、派手な演技ではないものの、演技の振れ幅はやっぱり満島ひかりの凄さだなと感じた。

あと個人的に恒美が好きで。
恒美のツネは恒星のコウ。その意味を変えてくるのとかもう…。
異様に感情移入しすぎて、晴道が也英を選んでも俺はずっと恒美の味方でいるよって気持ちで鑑賞してた。

最終話で救われないキャラクターを見せずに終わらせたのは少しズルいなと思ったけど、物語としては欠陥なく、恋愛ドラマとしては綺麗に収まったのでヨシという感じ。

地味にハイライトは「有吉ですよね?」のシーン。又が四つとか最高。