のすけ

母性ののすけのレビュー・感想・評価

母性(2022年製作の映画)
3.4
高畑淳子、大地真央の凄さに気付く作品。
現代女優と往年女優の共演。どちらも素晴らしいが、先の2人の深みを感じた。しかしすまん、、、大地真央が「愛」というセリフを喋った瞬間、どうしてもあのCMがよぎってしまう‥😱緊迫のシーンでずっとCMの1シーンが頭を巡っていた‥
永野芽郁も戸田恵梨香も、これからそういう深みが増していくんだろうなと。そういった意味で新旧感慨深い作品だった。

親の顔色を伺いながら育った子ども。「親が出す○印はどれだ?」と、親が求める○を探し続けることで自分という自我が消えていく。そして大人になっても、子供ができても、親の愛を求める子供のままで本物の"親"になれない。

『無償の愛』とは見返りを求めず相手に与え続ける行為。
親の顔色を伺い親の持つ○を必死に探す行為は、相手に与える行為ではなく、自分にとって心地よい○を求める行為。それは矢印が相手に向いているようで、実は自分に向いている状態。
そうやって育ったが故、子供に与え続けることができないのだろう。それは育った環境のせいでもあると考えると、なんとも悲しくもどかしい。

子供ができたら勝手に親になるなるのではない。親も努力が必要だと思う。
子供のためと言いつつ、「それ自分のためじゃないかい?」という親が多いもんだ。
この作品では描かれないが、往々にして子供は意外にもそれをよく見抜いていて、気づいていないと思っているのは親の方。
この作品で同シーンを親と子供の両方から見た視点が描かれているのは、そういうことなのかもしれない。

景色は上からの方がよく見えるもんだが、とかく人間関係や仕事(上司と部下)、親子関係で言えば、下からのほうが数倍よく見えるもんだ。
それをよく自覚して、自分自身を見つめ直す時間を持つべきだ。