南森まち

母性の南森まちのレビュー・感想・評価

母性(2022年製作の映画)
2.6
祖母を狂信して育った母。祖母亡き後は義母に尽くし続ける母に娘は反抗するが…というお話。

これ、アオリを見るとミステリ調なんですが、映画は全く謎もなく、淡々と進んでいきます。おそらくですが、原作から変えすぎたんではないでしょうか。原作を読んでないのでなんとも言えませんが…。
「見方によって事実が大きく違う」と言っていますが、ほとんど変わらないように見えてしまいました。残念。

一番の問題は、時系列が飛んで、大人になった娘が登場する点。
娘が学生時代も生き残りまともになるんだな、というのが先に分かってしまい、話のメインである過去のストーリーが、まったくハラハラしないものになってしまった。

他にも、「母性」と関係のない安保闘争の総括や夫のあれやこれやなどをたくさん盛り込んだのに、その辺は後日どうなったか説明していないので、なんだかモヤモヤしたまま終わってしまいます。
映画化するなら時間足りなくなるんだから、バッサリ切って最初から母性の話に絞れよと。
もうちょい原作を尊重するか、テーマを絞り込むか、映画化を諦めるかしないといけなかったんじゃないかなぁ…

湊かなえさんの小説は(夢見が悪そうな話が多いですが)面白いので、ちょっと残念な出来です。
あと演者たちの演技も大げさにやらせすぎ。わざとらしすぎて大根役者に見えてしまった。多分そんなことはない人たちだと思うんだけど、これも演出なんですかね。