sakura

MAHOROBAのsakuraのレビュー・感想・評価

MAHOROBA(2021年製作の映画)
4.5
平均して週に一度は足を運んでいるフォーラム仙台でポスターを観て、ウェス・アンダーソンの『フレンチ・デイスパッチ ザ・リバティ,カンザス・イヴニング・サン別冊』(いつ書いても長いな)のアニメーション部分みたいな絵が可愛い~と気になって、軽い気持ちで観に行ってしまった。

そもそもアニメはあんまり見ないのだけど、リアルに寄せる昨今のアニメ業界のがんばりもすごいが、せっかくアニメなら実写ではできないこの「淡々とした惨劇」みたいなかんじがいいなあと思った。

アスペクト比変わるの大好きなので観ていてめちゃくちゃ楽しかったし、冒頭の横にカメラが流れていくのアニメとしてはすごく斬新で衝撃的だった。

ストップモーションアニメの『ぼくの名前はズッキーニ』を観たときにも思ったのだけど、アニメって瞬きひとつ製作者が意図しないと描写できないのだよね。当たり前なんだけど。
瞬きのタイミングひとつ・俯くタイミングひとつに、人の手とひとつの思考がかかっていることが本当にすごいと思わずにはいられない。
セリフ以外の役者さんの目や表情で伝わってくるものももちろんあるから、どちらがすごいとかではないのだけれど、製作者が考えなければならないことの数でいうとアニメは本当にすごいなあと感心してしまう。

「自殺菌」は身も蓋もないコロナ描写で、感染→自殺が一瞬すぎてある種コミカルですらあるのだけど、ああやって飛び降りたりして人がバタバタ死んでいく光景を、このコロナ禍よりも「異常」と、「放置しておけない状態」と思ってしまう自分に対して、自殺とコロナの差異はなんだろうかと問いたくもなった。
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