ポルりん

赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。のポルりんのレビュー・感想・評価

2.3
■ 寸評

基本的に「福田雄一」監督の映画は合わないので、全く期待していなかったが、予想通り酷い作品であった。
所々『勇者ヨシヒコシリーズ』を彷彿とさせる演出がなされていたが、あれは適度なチープさと世界観が「福田雄一」の演出とギャグにマッチしたから面白いのであって、予算が掛かると途端にボロが出てくる。
やはり「福田雄一」監督は映画よりもテレビドラマの方が向いているというのを再認識させられる作品であった。


■ 演出

先にも書いた通り、本作は所々『勇者ヨシヒコシリーズ』を彷彿とさせる演出がなされている。
特に序盤の赤ずきんと魔女のくだりなんて、殆ど同じだ。

これが30分くらいのテレビドラマとかだったら何にも文句はないのだが、100分の映画だと流石にキツくなってくる。

それにギャグ自体が世界観というか予算規模と合っていないというか・・・。
『勇者ヨシヒコシリーズ』だとチープな世界観とチープなギャグがいい感じにマッチしてたから、普通に違和感なく笑う事が出来たんだけど、本作の場合、そこそこ予算が掛かった作品なのだがギャグが『勇者ヨシヒコシリーズ』と似たような演出なので違和感しかないので、全然笑う事が出来ない。

仮に予算を掛けず、『勇者ヨシヒコシリーズ』のようにチープにすれば、違和感を感じることなく笑えたのではないかと思う。


■ 脚本

全体的にはありきたりで想像よりは悪くなかったと思うのだが、どうにもミステリー部分がお粗末というか酷く感じられた。


〇 馬車と鈍器

赤ずきん+シンデレラの主人公一行が舞踏会に向かう為、カボチャの馬車を走らせている途中に突然衝撃が走る。
馬車を降りてみると、美容師のハンスという人が死んでいる。
シンデレラは馬車で轢き殺してしまったと青ざめるが、ここで赤ずきんが違和感を感じる。

赤ずきん「それは違うわ!彼の後頭部を見て!!馬車よりも酷い怪我をしている。つまり彼は私達が轢く前に既に誰かに鈍器で撲殺されて死んでいたのよ!!」

って言うけどさ。
普通に考えたら、

【スピードの出た馬車の車輪で顔面を轢く】

のと

【鈍器(砥石)で1撃殴る】

ので、どちらの方が酷い傷がつくかっていったら、普通は馬車じゃね??
いやー、たまたま既に死んでたから良かった(?)けどさ。
どう考えても馬車で轢かれた顔面の方が見るも無残な状態になっていると思うけどね・・・。



〇 犯人はシンデレラの義姉?

物語の途中、シンデレラの義姉が美容師のハンスを殺害したと疑われるシーンがあるのだが、どうにも納得できない。


・流れ

シンデレラの義姉が美容師のハンスの家に入る



中には誰もいない



シンデレラの義姉「おかしいな?」

と思って立ち竦んでいると、背後から何者かに鈍器で殴られる。



目を覚ますと、そこにはハンスの死体が。
そして手にはハンスを殺害したと思われる鈍器が握られている。



シンデレラの義姉「きっと私がハンスを殺したのよ!!」

と逃亡を図る。



何をどう考えたらシンデレラの義姉は自分がハンスを殺したと思い込むのだろうか??
1万人中1万人は自分を背後で殴った奴が犯人だと思うのではないだろうか??
いくら何でもアホすぎだろ・・・。

まぁ1億歩譲ってこれがギャグのような演出だったら分からなくはないが、これをギャグなしで真面目にやってるんだからね・・・。
マジでどうしようもない。



〇 意外な犯人

物語の終盤でハンスを殺害した犯人が分かるのだが、これは意表を突いたものであった。
その意外性に関しては評価できるのだが、冷静に考えると犯人はそいつでいいのか?と疑問に思ってしまう。
あまりにも救いがないし、テーマ性に合っていないのではないか??
まぁ本作がそういったテイストで製作してるんだったら全然アリだと思うが、そういった訳でもないでしょうに・・・。

何というかミステリー部分に関しては、この犯人ありきで作って色々な部分をおざなりにしているように思える。
ポルりん

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