前之崎文吾郎

ダウントン・アビー/新たなる時代への前之崎文吾郎のレビュー・感想・評価

4.0
シーズン1の1話が1912年(メアリー21歳)で、この映画は1928年(35歳)が舞台なので、14年後ってことかぁ。

このドラマシリーズで一番すごいのは、人間の多面性がものすごく絶妙なバランスで存在してるところ。
シリーズ通して全てのキャラクターにちゃんと欠点があって、そこを乗り越えて修正してハッピーエンドなんじゃなく、マイナスな部分となんとなく共存しながら過ごす彼らの生き方を丁寧に描いている。だから、視聴者はその時々で違うキャラクターに共感したり反発を覚えたりするんだと思う。
100年前の英国貴族というまるで世界の違う人たちなのになぜか共感してしまうのは、それが実社会の人間関係そのものだからなのかな。

公開が遅れに遅れて、イギリスは今年4月、そして日本は更に遅れて10月公開になったわけだけど、ウィットに富んだ会話と機転で目まぐるしく変わっていく時代を乗り越え、みんなの心の支えになって遺される人たちに大きな影響を与えた偉大な女性の去り際をこのタイミングで見届けるのは(ただの偶然だけど)不思議な気持ちでした。