ディズニー映画は作品の舞台・背景は違えども、これぞディズニーとしか言いようがない作品を量産し続ける。その一つ重要なモチーフは親と子のせめぎ合いである。弱肉強食の世界で、親は子供を出来るだけ安全な世界に置きたいと考える。だが安全な世界に置こうとすればするほど、子供は危険な外の世界を目指し、しばしば冒険の旅に出るものだ。本短編はまさにその親と子のせめぎ合いのような映画だ。岩場に隠れたアライグマはそこにずっといれば天敵に狙われることもなく、ひとまずは安全だ。だが子供のアライグマの好奇心は外へ外へと向かうのだ。ディズニー映画が提唱する親の価値観というのは、決して過保護・過干渉ではない。自分も傷を負うことで、外の世界の厳しさや弱肉強食の世界の在り様を身を以て伝えようとする。3Dアニメーション全盛の現代において、あえて2Dで作られた世界観は親子が共に成長しようとする物語となる。貝殻の奥からはいったいどんな音が聞こえたのか？アライグマの親子の姿にずっと変わらない親子の姿が滲み、思わず優しい気持ちになる。これぞディズニー映画というような原点回帰の作品だ。
