すし酢高跳び

断捨離パラダイスのすし酢高跳びのレビュー・感想・評価

断捨離パラダイス(2022年製作の映画)
3.6
劇場評判が良くて、目立たなかったけど見逃して悔しかった作品です。早くも配信!ありがとうございます。

昨年末に公開された『PERFECT DAYS』も多くを語らず、画面に映るものから感じ取る系で好評ですが、これもそのカテゴリーかもしれませんね。
4人、部屋の荷物を断捨離していくのですが、そこから性格や過去を察していくような演出でした。

とはいえ、かなり笑えるシーンが多いんです。私のツボは、舞台となる清掃業者「断捨離パラダイス」の社長(北山雅康)の言葉でした。

ピアニストを諦めた白高律稀(篠田諒)

母親にピアニストとして生きていく事を強いられ、辛そう。プレッシャーからなのか、手の震えが止まらず夢を諦める。おまけに11年も付き合った恋人にもフラれる。

そんな律稀が目にしたチラシ『断捨離パラダイス』のバイト募集。

迷ってる白高に『君は大丈夫な気がする』って社長が声を掛けるシーンを観て、この作品は良さそうと思ったんですが、その予感は当たりました。

元AV女優の明日華(中村祐美子)
シングルマザーで学校から家庭に問題アリ、と担任が家庭訪問を要求。ヤバい!部屋はぐちゃぐちゃ、息子もちょい臭そう笑
昔はねー、確かにこんな感じの子供とか居ましたけど。そこで断パラ(断捨離パラダイスの略)に仕事を依頼。
と、大量のDVDがバラバラ〜。明らかにAVだし、表紙の女優は目の前にいる明日華。それはきっと普通なら捨てたい過去なんでしょう。しかし、出てきた言葉は『これは捨てません』
この明日華、だらしなさ満点なんだけど人を見抜く一本筋通ってる風にも見えるし、自分のやってきた事へのプライドもちゃんとある。

だから『これは捨てません』

フィリピンから来てたボン(介護士)
国へ帰る事になり、片付けを断パラへ依頼。
割と小ざっぱりしているけど、そこそこ汚いのは、一年前にお母さんを亡くした時から、片付けられなくなっていたからだ。
日本は好きだけど、来て良かったとは思えない、という言葉、耳が痛い。

名物ゴミ屋敷の主人(泉谷しげる)
社長の学生の頃の先輩の親父さんで、テレビで名物ゴミ屋敷として紹介されて、慌てて息子が断パラへ依頼。
そこは昔、数千万もする骨董品が眠っているかもしれないと、息子からは言われるが、内緒で片付け開始!またもやテレビのニュースで知る息子。
この親子の関係性も含めてドタバタ面白い。さぁ、そんな高価なものは見つかったかなぁ?

ここからの構成がとっても良い!

まさかのラストは、明日華の家に家庭訪問に行きたいと言っていた小学校の担任、万莉子(武藤十夢)の汚部屋。

そっか、これ群像劇だったのね笑

しかも恋人がプロポーズしてくれたのに、まだ部屋に入れたことがない。もちろん、浮気を疑われてしまう。
結果、汚部屋発覚!
別れるのかと思いきや、彼氏が断パラを依頼してくれる展開。

私には息苦しさを感じてしまったなぁ。だって、綺麗でいろよって事でしょ?片付けられない人なんだから、キツイよね。 
あ、猫好きな人には悲鳴案件がありますので、鑑賞注意⚠️です。

実は、我が家にも片付けられない人種がおります。我が娘です。

見ていて思うのが、捨てられないってのが1番ですね。いつか使うかも、とりあえず取っておく、捨てるの面倒くさい。
片付けが面倒なんじゃなくて、その意識が強いので、自然と物が増えて溜まります。
あと、カテゴリー分けも出来ない様子。

この作品観てたら、私もいつか断パラに依頼しちゃうんじゃないかなぁって思いましたけど、ちょっとだけど『家、ついてってイイですか』の雰囲気もある映画でしたね。

観終わると、自然と笑顔になってました。
なんちゅうか、心がしっとり系のやつです笑
サクッと観られる良作。
すし酢高跳び

すし酢高跳び