探偵マーロウ 2022年作品
原題 Marlowe
5.5/10
ニール・ジョーダン監督
リーアム・ニーソン ダイアン・クルーガー ジェシカ・ラング
アドウェール・アキノエ=アグバエ ダニー・ヒューストン
アラン・カミング ダニエラ・メルヒオール イアン・ハート
自分は若い頃にハメット、マクドナルド、チャンドラーを殆ど読破している。
ハードボイルドの御三家とその映画
ダシール・ハメットのサム・スペードはハンフリー・ボガート
「マルタの鷹」(1941)
ロス・マクドナルドのルー・アーチャー(ルー・ハーパー)
ポール・ニューマン
「動く標的」(1966)「新・動く標的」(1975)
この二人のキャラクターはしっくりきていると思った。
レイモンド・チャンドラーのフィリップ・マーロウに関しては
ロバート・ミッチャムの「さらば愛しき女よ」(1975)「大いなる眠り」(1978)
が一応ベストということだろうが(エリオット・グールドもあるが)かねがね違うと思っていた。
そこで本作であるが、やはりフィリップ・マーロウのリーアム・ニーソンはなんか違う。
ニーソンの映画は相当観ているが、規範を守るハードボイルドの精神は分かるのだけれど、
性的魅力には乏しい気がする。
(「誘拐の掟」(2014)でローレンス・ブロックのマット・スカダーもニーソンは演じているがやはり違う。)
キャラクター以外にも粋な台詞以外に情景描写とか台詞にならない思考が映画化するにあたって、
チャンドラー(本作はチャンドラー自身が原作者ではないが)の映像化に無理があるのではなかろうか。
そもそもチャンドラーのハードボイルドを映画以前に読んで楽しんでる人間はどれだけ今存在しているのだろうか
ニール・ジョーダン監督がチャンドラーに親しんで来たとも思えない。
邦題が”探偵”マーロウといちいち探偵とつけないといけないくらいハードボイルドというジャンルは
終わっている。残念だけど。
原作はチャンドラーの遺族にお墨付きをもらったジョン・バンヴィルの「黒い瞳のブロンド」。
チャンドラーの作品と言われても違和感はない。
ダイアン・クルーガーは事件の依頼者であるファム・ファタールとしては魅力はあまり感じない。
マーロウが怪しいと思っても捜査を続けるモチベーションにならない。