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トロールのkuuのレビュー・感想・評価

トロール(2022年製作の映画)
2.8
『トロール』
原題 Troll
製作年 2022年。上映時間 103分。
[Netflix作品]ノルウェーの伝説に登場する妖精トロールを題材にしたアドベンチャーアクション。
千年の眠りから目覚めた巨大なトロールによって引き起こされるパニックを描くって、まぁキングコング君をトロールさんに置き換えた感じかな。
メガホンを取るのは『トゥームレイダー ファースト・ミッション』などのローアル・ユートハウグ。
ドラマ「フリア ~孤高の潜入捜査~」などのアイネ・マリー・ウィルマン、『キング・オブ・トロール 勇者と山の巨神』などのマッツ・ショーゴード・ペテルセンのほか、キム・ファルク、ガルド・B・アイツヴォルドらが出演する。

ノルウェーの山間部、ドブレ。千年にわたって眠っていたトロールが目を覚まし、破壊の限りを尽くしながら首都オスロに向かっていく。
伝説上の妖精に過ぎないと思われていたトロールの出現とその被害の大きさに成すすべがない首相は、ある古生物学者を科学顧問に任命して対処にあたらせる。
古生物学者は、大惨事を阻止する方法を探す。

今作品が伝えたいことや、やろうとしていることは分かる。
しか~し、残念ながら、気持ちと裏腹にその実行力がイマイチでした。
登場人物に実際の特性や個性、所謂、キャラを与えようとしてるけど、多くのキャラは、単なる説明のためやプロットデバイス(プロットを前進させるために用いられる物語上の技法)に過ぎない。
ホンでもって、その上で、トロールに共感させようとさえしている。
小生はトロールに共感出来なかった。
トロールの行動とその暗黙の動機は曖昧で一貫性がないように感じる。
勝手に古生物学者の女史と父ちゃんが云ってるだけで信憑性が薄いのに国のいや、地球の存続を賭けてる。
まぁ、今作品はこのテーマに真剣に取り組んでいるのは見受けられるし、ワーナー・ブラザーズが作った最近の怪獣と戦うゴジラ映画よりも、『シン・ゴジラ』(2016)に近いかな(個人的な見解なんで)。
泥炭地の化石をシャベルで掘り起こすような、小難しい問題もある。
それから、プロットホールとしか思えないような、もっと深刻な問題もある。
中世の戦士が馬に乗って剣を振ればトロールを倒せるのに、半近代的なレオパルド2A4NO戦車が16kg、高爆発IM HE-T弾を発射し、秒速1km以上、有効射程4km以上が、トロールにはせいぜい軽い厄介ごとでしかない。
小生に例えるとゴキ🌑リが出てきて(ここ数年は見かけないが)、てんやわんやになるが、ゴキジェット噴射後の平穏な日常に戻る感じ以下のトロールの動揺。
また、『キングコング:髑髏島の巨神』(2017)の1シーンを彷彿とさせるようなヘリコプターのシーンもある。
個人的には、頑固一徹なんで、所々の問題が不信感となって頂けなかった。
これは、真剣に取り組もうとしていても
映画では理想的ではないかな。
ただ、CGIは予想以上に良く、あくまでも予想してた"より"ですが、これは嬉しい驚きやった。
テンポはかなり良く、観てる側を楽しませようとしてんのはうかがえた。
また、アクションが盛り上がるたびに1秒ごとにカットが入るような悪い編集がなかったのも最後まで観れたのは一つの要因かな。
残念ながら、この映画の最大の問題の1つは、みんなが本当に危険な目に遭っていたのか?
危機感がイマイチ。
これはまた、今作品が筋書きに真剣に取り組もうとしていることでもある。
追跡、監視、早期警報、避難システムなど、現代のテクノロジーを駆使して。
この脅威は本当に危険なんかな?
おそらく、人命よりも物的被害が大きいんちゃうかな。
クライマックスの展開も予測可能で、ラストシーンも予想通りやって、映画全体の物語性を損なっており、腹立たしい、いや小腹立たしい位かな。
特にクライマックスの感情的なインパクトを損なっていた。
他にも問題はありますが、ネタバレにならない程度に説明するのは難しい。
ただ、もっとひどい作品になると思っていたのもあるし小腹ほどでした。
同時にもっといい作品になると思っていたんも事実やし、サブスクじゃなかったら腹立たしかったかも。
まぁ、深刻な問題もあるが、低予算の大作モンスター映画には見えないし、感じない軽~るく観るには十分ではあった。
セット、CGI、音響・音楽、撮影、照明、その他映画に関わるほとんど全てのものが有能であったのも捨てがたく救いかな。
とは云え、良い食材は良い食事を保証するものではない。
モンキーDルフィの作る料理に、剛田武くんの作るジャイアンシチューとかみたいに。食えねぇな。
前提条件とジャンルが、普段から失望しないものであれば、見る価値があるのかな。
それ以外の人は、何か良いものを逃したという気持ちにならずに、観るものがなくなる時まで、この作品を避けることができるんちゃうかな。
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