あまのじゃこ

ONE PIECE FILM REDのあまのじゃこのレビュー・感想・評価

ONE PIECE FILM RED(2022年製作の映画)
4.5
ごくごくそこら辺にいる一般的な海賊目線から観た感想です。

ワンピースはそこまで詳しくないのですが(空島まで、エースの辺りを知っているくらい)そのくらいの知識でも十分楽しめる映画だと思います(わからないキャラはちょこちょこいるけどなんとなくこの方は海賊、この方は海軍とかサラッと説明されてるので…)
ミュージカル映画という感想をちょこちょこ観ましたがどちらかというとマクロスの味わいに近いかなと。
そういうの慣れてなかったり重箱の隅をつつけるくらいワンピース読み込んでる海賊だぜ!って人とか映画全制覇してるぜ!とかやっぱり海賊と言えば肉と酒と戦いだよなァー?!と言う海賊の方はちょっと戸惑うかもね。


全体的な構成は歌の分量はものすごく多い!って思うほどでもなく、歌をいいキーアイテムとしながらストーリーも王道で説明臭くもなく各キャラの動機も良く分かりやすかったと思います。
子供でも理解しやすい動機でありながら大人でもうなる深いテーマ性があると感じました。
陣営ごとの思惑、それによって世界に与える旨味?や問題点も見えやすかったし個々の見せ場や役割、得意分野もハッキリしていてこの人数出してよくここまで魅せられるなと一般海賊、ただただ感動しておりました。脚本家がうまい…
何より一番驚いたのはその切り口。
ワンピース原作内でも語られてはいたな…となんとなくは覚えてはいるのですがより弱者目線から語られてて納得感というか海賊としてハッとさせられました。(そう、海賊は本来ただの害なのである!)
派手な戦いの裏にはこういう虐げられた者がいて、救いや安寧を求めていて、それでいて私たち海賊とは別種の身勝手さがあるんだなと。


新キャラクターであるシャンクスの娘ウタ。世間知らず故の純粋さ、弱者であり強者でもあり、望まれたからそうあろうとする痛々しさ、願いの強さや理由。説得力がすごい…Ado氏の力強い歌声と技術でより補強されてるなと思いました。
思想がどことなく末期の共産主義国家を彷彿とさせるのもグッときました。きっと過去理想を追い求めた革命家たちも元は「全体が幸福であれる世の中」を求めて結果的に歪んでしまったのかな。
これは一般海賊の想像ですが──


言うまでもなく映像は迫力満点でデザインも斬新かつ今っぽく、さらにスタイリッシュでクールな衣装に目が忙しい!ってなるほど楽しかったです。カットラス一本で他のキャラとは一線を画す立ち回りをするシャンクスは必見!この海賊、格が高い!!


セオリーは踏みながらいろんな表現を取り入れ、既存意識を取っ払おうとする、まさしく“新時代”に向かっていくにふさわしい映画でした。海賊満足。


ウタ…かわいかったな…メカクレだし…
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