ワンピースは時代劇である。渡世物に近い。
少女が信じた男はヤクザ者で街を滅ぼす。少女は男を恨むが、非道の陰には男の優しさが潜んでいた。
そして今、 少女を救うために渡世の男達が立ち上がる!
河内山宗俊とか、〇〇任侠伝の世界です。
なるほどワンピース歌舞伎があるのも頷ける。
講談にもピッタリじゃないか?
『清水の次郎長』みたいに『ワンピース講談』があっても不思議はない。と、思ったら既に神田松之丞がやっていた。
実際、仲間のやりとりは次郎長一家と変わらない。
作者は『次郎長三国志』が好きで、DVDのジャケットイラストを描いたとか。キャラのヒントにもなっているらしい。
今回は、歌の魔法が使える少女ウタが魅力的。
最初は歌とアクションをシンクロさせたアニメーションが良かったが、同じ手法が何度も繰り返される。
バリエーションをつけているつもりだろうが、似通っている。
一発屋芸人と同じで、受けるけどワンパターン。
クライマックスに至っては、話の都合で肝心のウタがあまり歌っていない。(アクションに入る前にちょっとだけ歌う)
一番の見せ場で、メインが歌わないってどうなの?
「ウタ」じゃないじゃん!!
話の展開も新事実が出るたびに回想で説明する。
回想が10回位使われる。芸がない。
作者と脚本家、どちらに構成の責任があるのか知らないが、同じパターンの繰り返し。テクニックの引き出しが少ない。
回想以外に話の進め方を知らないのか?
もう一つ問題なのは、シリーズが進んでキャラクターが多いせいで主人公の活躍が少ない。
一番何もしないのは主人公のルフィだ。
シャボン玉みたいな中に入って、ぐるぐる回ってるだけ。
ルフィがいなければ、話が展開しないという事はまったくない。
クライマックスでも皆と一緒に戦うだけ。戦闘員の1人に過ぎない。
多分ルフィがいなくても困らないと思う。
特に今回はウタとシャンクスの話。ルフィはほぼ傍観者。
ルフィ不在でも成立した展開だろう。
恐竜が実は鳥に進化して生き延びたように、
滅びたと思われた時代劇が、海賊アニメに継承されて人気があるのは救いである。
時代劇はこれから、流行りの異世界アニメへどんどん転生しよう!!
『異世界忠臣蔵』
『転生したら旗本退屈男だった件』
『Re:ゼロから始める銭形平次』
『次郎長ダンジョン』etc・・・
お後がよろしいようで。