柊

渇水の柊のレビュー・感想・評価

渇水(2023年製作の映画)
3.5
何か惜しい。
問題提起もしっかりあるし、ネグレクトや家族の在り方の問題等とても現実的なのに,水道局員生田斗真演じる岩成さんが最終的にとった行動が何の解決にもならないのがとても残念。そして提起された問題はそれぞれ何の解決も発展も見ずにエンド。だからファンタジーになっちゃったよ。

育児放棄された長女が放った言葉。「そんな事してもまた繰り返すだけ」的なセリフが全てを物語っている。結局何も変わらない。そして最後のシーンをどうとらえるか?でこの物語は随分変わると思うが、2人で生きていくと言い放った姉がすんなり児相に引き取られると言うのも納得がいかないので、むしろ飛び込み自殺だって考えられる…かもしれない。町で見かけたと言う門脇麦演じる母親が最後全く関与してないのも不自然だし…2人だけの過酷な生活から解放されて、児相で新しい生活が始まる良かったね。とはとても思えなかった。むしろ姉妹2人にとってはこれからもまだまだ試練は続くよ。って思ってしまう。だから岩成さんが一時の感情で水を出してもなぁ。水をタダにするのは無理としても違うアプローチはできなかったものか?と思ってしまった。それくらい岩成さんの行動は少し幼稚なような気がした。だからリアリティがない話になってしまったと思う。


水道と言う命の生命線でありながら,支払いが数ヶ月滞れば止められてしまう昨今。そんな人があんなに多いとは。ちょっと驚きだ。暑さ日本一の群馬県が舞台なのも暑苦しいんだけど、その暑さが今ひとつ感じられないのも残念。もっとジリジリした暑さを出して欲しかった。そして命綱である水を止めるという行為が如何に非人間的な事か思い至る。その当事者も止めねばならぬ仕事の担当者もこれはしんどい。これは辛い仕事だ。
水だけは止めないという話は今は昔なんだね。
水と空気と太陽、ほんとこれは無料であって欲しい。
それが行政の仕事だと思うのだが、この国は国民を見てないからね。そこが絶望的。
柊