ハレルヤ

渇水のハレルヤのレビュー・感想・評価

渇水(2023年製作の映画)
3.6
群馬県前橋市の水道局に勤める岩切。水道代を滞納している家庭への停水を執行する日々を送っていたが、ある日父親が蒸発し母親も帰宅しない家庭環境に置かれた幼い姉妹と出会う。仕事と私情の間で揺れ動き、様々な問題と向き合い葛藤する姿を描いた社会派ドラマ。

予想してましたがかなり重い内容。水道の差し押さえを通じて社会の隅で生きる人々の現実。本当に支払えないレベルの人もいれば、他の事へは払えるのに滞納し続ける人もいる。そしてネグレクトを受けている子供。そういった実態にも踏み込んだ内容になっています。

流石に「子宮に沈める」ほど残酷ではありませんが自分の都合の良いように振る舞う身勝手な母親。その母親を信じて待っている下の子。上の子は色々と察しがつく年齢で誰も信じられなくなり、水がない生活に苦しみ万引きにも手を出してしまう。とにかく腹立たしさと辛さがひたすら沸き上がっていました。

仕事でそんな姉妹の現実を見ていながら、踏み込んだ事は出来ずに粛々と仕事を執行しないといけない岩切のジレンマもよく伝わりますし、自分の家族への複雑な思いを抱える姿も生田斗真の演技を通じてリアルに感じ取れます。

本作で普段から当たり前のように使っている水についての大切さを改めて感じましたね。ライフラインとして欠かせないもの。それを軽視する人もいる。作品自体は重めなので諸手を挙げてお勧めできませんが、一般社会に密接なテーマがあるので興味のある方なら是非ご覧になっていただきたいです。
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