Chris

ミックステープ 伝えられずにいたことのChrisのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

家族愛や、友情愛に満ちた心温まる素敵な映画だった。音楽と青春がいい塩梅でミックスしていて、場面ごとに合った音楽が流れていたので没入して楽しむことができた。
最も印象に残ったシーンはビバリーがブルーハーツのリンダリンダを、聴いているシーンだ。日本の曲が入っていることに驚いたとともにサビに入ったときのビバリーの反応が愉快で観ている側もテンションが上がった。リンダリンダを取り上げてもらって嬉しい気持ちと曲の良さを改めて確認した。
初めて聴いた曲も多かったが、何度も聴きたくなるような個人的に好きな曲が増えたのでいい収穫だったと思う。
またカセットテープで音楽を聴くことへの憧れができた。元から自分はアナログ音楽が好きということもあり劇中でビバリーたちがミックステープのセットリストを順番に探して聴いていく構成にすごく魅力を感じた。今ではサブスクで簡単に探せて簡単に聴くことができる。そんな便利な時代だからこそ少しの手間をかけたアナログ音楽は曲の温かさを感じれて心地よく思う。
特にミックステープは劇中で一曲一曲深い意味があり思いがこもっていると言及していた。ビバリーを励まそうとエレン、ニッキーの2人が「Better Things」を流して踊るシーンは曲の良さを120%で伝えていて感動した。アナログ音楽をさらに好きにさせてくれた。
ストーリーも素晴らしい。両親について何も知らないコンプレックスのあるビバリーと娘の死をどこから受け止めきれていないバァバの構図がどちらの気持ちも痛いほど理解できて苦しかった。しかし最終それを互いに乗り越えて絆が深まるのはとても美しいストーリーだと思った。
まさに音楽が人々に与える良いこと、悪いことまで詰め込んだような映画だった。1時間半と短いため見やすく、時間以上の満足感が得られた。音楽に対する付き合い方を考えさせられる、それでいて楽しむことができる最高の映画だった。
Chris

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