はぐみ

メタモルフォーゼの縁側のはぐみのレビュー・感想・評価

メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)
5.0
真剣に好きなものをファッションのように扱われるのってとっても腹が立つよね、紡の彼女がBLの本買った時のうららちゃんの気持ちとっっっても分かります。自分が好きなものを変に知られてしまったら相手に勝手に形を変えられてしまうかもしれない、しかもあの子は好きでも引かれないのに私は好きだったらキモがられたりする。なら自分の中に閉じ込めておこうって思う気持ち、本当に本当に分かります。

17歳のうららちゃんに時には師匠のように、時には孫のように、そして時にはお友達のように接する雪さんが素直で上品で可愛らしい。私もBLに心惹かれた最初のきっかけは「応援したくなるから」でした。BLの何が素晴らしいかって男女の恋愛でのすれ違いの原因が「自分が不幸になりたくないから」が多いなら、BLでのすれ違いの原因は「相手を不幸にしたくないから」が大半なんです。皆んな、相手をめちゃくちゃ思いやりながら恋愛してる。だから「頑張れ!!!負けるな!!!幸せになれ!!!」って思うのだと思います。

紡くんの性格がめちゃくちゃ良かったな〜!!!うららちゃんの好きなものを絶対に否定せず、そして無理に打ち明けさせることもせず、そっと応援してくれる。「BL???いいよな!!!流行ってるし!!!」と言ってくれる男の子は沢山いると思うけど、何にも言わないけどうららが部屋に入ってくるまでにそっと読む漫画を変えてくれて同人誌まで買いに来てくれる男の子にはそうそう出会えないと思います。人の好きなものに変に介入せずに、好きなものではなく好きでいる姿を見守ってくれるのめちゃくちゃいいなあって思います。顔が小さくて背が高くて気さくで、高校生の時に絶対に手が届かないのに皆んなが好きになってしまう皆んなの青春くんって感じがすごく良かった。幼なじみに欲しい。

芦田愛菜ちゃんは役を演じているということを忘れるくらい自然は演技をされていて、彼女のおかげで映画を見ているというよりうららちゃんの成長を見守っているような気持ちになりました。映画を制作物ではなくリアルに持っていく天才だなあと思いました。頭もいいみたいだけど、愛菜ちゃんが日本映画界を背負っていく姿を見てみたいなあと願わずにはいられない演技をされていました。

宮本信子さんと芦田愛菜ちゃんのコンビ、めちゃくちゃ良かったなあ。この2人が共演するのを拝める日本の映画、やっぱり好きだなあと思いました。

最後の主題歌、可愛い声をしているなあ、誰が歌っているのか確認しようと思っていたらすぐに愛菜ちゃんだと気付きました。なんて可愛らしい歌声なんだ。最後まで素敵な映画でした。
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